ツアープレーヤーたちの小さな悩み<清水一浩>
2006/05/01 12:00
先月のジャパンゴルフツアー第2戦「つるやオープン」最終日。すべての競技が終わった山の原ゴルフクラブの18番グリーンはゲームの余韻と、次の表彰式の準備とで騒然としていた。
大会2勝目をあげた豪州のブレンダン・ジョーンズへのカップ贈呈式のほかにその週、世界最年長で予選を突破していた杉原輝雄に、きゅうきょ特別賞が贈られることになった。頭を下げながら入場してきたドンに、いっせいに注がれるギャラリーの視線。68歳に注がれる賞賛の声。
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・・・そのかたわらで何やら難しい表情を浮かべ、ひそひそと密談している選手がいた。
手嶋多一と清水一浩だった(=写真左から)。
「・・・こんなに成績が良かったのは初めてなんで・・・いったいどうしたもんですかねえ」(清水)
「そらオマエ、なんぼか包んだらなあかんで」(手嶋)
「うぅ~ん、そうは言われてもねえ・・・」と、清水は腕組したまま考え込んでしまった。
清水が頭を悩ませていたのは、その週バッグを担いでくれたキャディの山岡侑香里さんに、どうやって礼を尽くしたらいいのか、ということ。今季チャレンジトーナメントランク5位の資格で参戦している清水は、つるやオープンで自己ベストの単独3位に入った。最終18番で80センチのバーディチャンスにつけてさらに順位を上げてホールアウトするなり、その場で号泣した山岡さん。
4日間懸命にサポートしてくれた上に、清水が好成績を残したことが嬉しくて、泣いて喜んでくれたのだ。
「キャディさんのおかげだよ」と、ねぎらった清水。
何かお返しをしなければ・・・とは思うのだが困ったことに、「俺、実はいま財布に2万円しか持ってないんスよ!!」
そこで、イーグル賞の表彰を受けるために表彰式に来ていた手嶋に相談を持ちかけていたというわけだった。
「・・・いや、今は2万円しかなくても、今回の賞金が入ってくるやないか。あとでなんぼか贈ったらええんとちゃうか」と手嶋が提案すると、
「なるほど・・・じゃあ、いくらくらい包んだらいいんでしょうか」
「うう~ん、せやなあ。3位賞金が700万円くらいとして・・・」
「えぇ!?な、な、ななひゃくまんえんっ??・・・3位って、そんなにもらえるんスか?」
「そらあオマエ、優勝賞金が2000万円やぞ。単独やったから、そのくらいはあるやろう」
「はあ、そういうもんなんスか・・・。俺、今までそんな上に来たことなかったから、3位でいくらもらえるか、なんて考えたこともなかったッス・・・」
「まあ、心付け程度にはなってしまうけど、賞金の何割かを渡してあげたらいいと思うよ」
「なるほど・・・」
手嶋のアドバイスどおり、山岡さんには翌日に心ばかりのお礼を書留で送ったそうだ。
「なにぶん、初めての経験で戸惑ってしまいました」という清水。
今年はそんな嬉しい悲鳴を他にもたくさん味わって、プロ8年目の初シード入り、といきたい。
トーナメントで起こったルール裁定の実例
<2006「つるやオープン」>
1日目、11番ホール(パー3)グリーン右サイドにて競技委員要請があった。プレーヤーの球は、林に近い所に敷いてあったウッドチップ(樹木を粉々に砕いたもの)にめり込んだ状態であり、救済が出来ないかの問い合わせであった。
競技委員の裁定は、「地面に食い込んだ球」とは違いウッドチップはルースインぺディメントであるので、めり込んだ球は地面にたっしているのではなくウッドチップを敷いてある箇所に食い込んでいるだけですので、救済が出来ないことを伝えた。
読者の皆さん、最近林の中などにウッドチップや松葉を敷いているコースを多数見うけますがそれらは規則上ルースインぺディメントですのでご留意を!