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プレーヤーズラウンジ

ツアープレーヤーたちの世界進出<石川遼>

2009/01/19 10:01

17歳を追いかけて、はるばる駆けつけたベテランの“番記者”すら「あれっ!? 遼くんはどこ行っちゃったの…?」。思わず戸惑いの声を上げたのが、正月早々にタイ・バンコクのアマタスプリングCCで開催されたアジアVS欧州の対抗戦「ザ・ロイヤル・トロフィ」。その練習日にはツアーのスタッフさえも、すっかり見慣れたはずの石川遼を、なぜか見失うことが多かった。しばらくじっと目を凝らして「ああ、いたいた。あそこだ」と指さして安堵する…。そんな場面が多発したのは、この週ばかりはいつもとガラリと異なる石川のファッションにあった。

というのもチーム戦の今大会は出場メンバー全員に、揃いのチームウェアが支給されていた。青の欧州に対し、アジアチームは赤を基調にしたポロシャツと真っ赤なキャップ、そしていまや日本ツアーでは、愛用する若手選手を捜すことのほうが難しくなってしまったダボダボのツータックパンツだ。熱狂的なファンでなくともすでに周知のとおり、本来の“遼ファッション”はそれとは真逆のスタイルだ。スタイリッシュなポロシャツにバイザー、すらっとスリムなノータックのパンツ…。それらを颯爽と着こなして、遠目からでも一目瞭然。「あっ、遼くんだ!」と、分るほどだ。

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それが、服装ひとつでこれだけ変身してしまうものなのか。まるで一昔前の“不良少年”といった風情に、マネージャー役をつとめるスタッフたちも笑いをこらえて「なんだか“悪い高校生”になったみたい…。一瞬見ただけじゃ、遼だって分らないよ」。本人も、どこか居心地悪そうに「ツータックを履くのは10年ぶりくらいじゃないかなあ?」と、初披露のボンタン(?)スタイルにしきりに照れた。見かねたツアーのスタッフが、「チームカラーと同じ色であれば、ご自分のパンツを履かれてもいいですよ」と提案してはみたものの、開催前から団結力バツグンの代表メンバーたちには「いやいや、それじゃ一体感が出ない」と、あっさり却下されてし
まった。よほどサイズが合わない選手以外は「最後までこれで通そう!」と、揃いのウェアで
日に日にチームワークを強めていったのだった。

周囲には見慣れないそのスタイルと、本人にも慣れない団体戦のマッチ競技に、初めこそどことなく“よそ行き感”が漂っていた17歳も、みんなで一丸となって“ロイヤルトロフィ”を目指して行くうちに、いつの間にかしっくりとその場に馴染んでいった。そして、持ち味を取り戻した最終マッチはデンマークのソレン・ハンセンと互角以上の大接戦。17番で執念のドローに持ち込み、もつれにもつれた最終18番は、カラーとラフの間からのアプローチにスプーンを使う奇策であわやチップイン。惜しくも分け点0.5ポイント加算に、その場に倒れ込んで悔しがる様は堂に入り、仲間と肩をたたき合ってチームの初勝利を喜ぶ姿はもはや、誰がどこから見ても間違いなく“石川遼”。その頃には“ダボダボパンツ”に何の違和感もなく、すっかり自分のモノにして、むしろそれすらもオシャレに見せてしまうからさすがだ。

プロとなって初めての世界舞台でも自分を見失うことなく、むしろ“遼ワールド”をそこかしこに作り出してしまえる…。それも彼のたぐいまれなる才能のひとつといえる。そんな石川に、地元タイのゴルフファンも熱狂した。連日、大勢のギャラリーを引き連れ、たくさんの女性ファンをも虜にした。常に爽やかな受け答えは地元メディアの評判もすこぶる良く、優勝会見では石川にこんな質問も飛び出した。「タイの女性の印象を、一言で表現してください」。「えぇっ?!」と、戸惑いの表情を浮かべたあとしばらくモジモジと思案していた石川が、ほんのりと頬を赤らめながら「CUTE(キュート)!」と、発した途端に会見場はやんやの歓声。尋ねた記者も満足そうに、「グッドアンサー!」と、満面の笑みで頷いたものだ。石川がタイを発った翌月曜日にはまたきっと、地元紙には先のコメントをもじった大きな見出しが躍ったことだろう。「RYO ISHIKAWA」の名はこうして海を越え、確実に世界各地へと広まっていくようだ。

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