「勝手に岩田寛を応援しちゃう」の巻
ウェブ上で、その日あった出来事やことがらを不特定多数の人々に向かってつぶやくウェブログ。いわゆる“ブログ”の広がりはゴルフ界でも例外なく、公式サイトを開いていないシード選手を捜すほうが難しくなってきた今日この頃。日記とはいえど、公開する限りはやっぱりある程度の文章力は要るわけで。しかも、うかつなことを書けば、あっという間に非難の的にされ、サイトはたちまち“炎上”する昨今とあらば、それなりの覚悟とネタ選びのセンスが問われるわけで・・・・・・。
しかし、それでも彼らはいともたやすく自らの何気ない日常をさらりと語り、しかも“プロ負け”の筆致すら披露してみせるのである。中でもいま、ゴルフ界でもっとも注目を集めるブログはやっぱりこれだろう。石川遼の「イソガバマワルナ!」。
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それはそれは、普段の喋り口を裏切らない秀逸な内容で、なかなか楽しませてくれる。そのほかにも丸山茂樹や片山晋呉、宮本勝昌や矢野東など、人気者のサイトが目白押し。長いオフにはやっぱりプロゴルファーの話題が極端に減ってしまうのは否めないが、だからこそファンにとってはブログこそ、お気に入りの選手と交流できる貴重な“窓口”の役割を果たすから、なおのことその存在意義は高いといえる。
そこから、個々の選手の個性や意外な素顔までもが透けて見えてくるから面白い。そういう意味でも、注目したいブロガーがいる。シード4年目の岩田寛だ。彼は正直に言って、とっつきにくい選手である。まず、公衆の面前ではめったに笑わない。報道陣に囲まれてもとにかく口が重くて、しかも返答までの間がとっても長くて、何かまずいことを聞いてしまったかと、記者をハラハラさせてしまうほどだ。
一度、聞いてみたことがある。「こうして取材されたり、喋ったりするのが苦手ですか?」。「いや、別に苦手ではないです。そちらからいろいろ聞いてくださったら、ちゃんと喋りますよ」と、ちょっぴり含みのある(?)答えが。(そうか、こちらの質問の仕方が悪いのか・・・・・・)と内心大いに反省したものだが、ある日の彼のブログに「僕は人見知り」とカミングアウトしてあった。(ああ、そのせいで自分を出すのが苦手なのかな)と、安堵したのもつかの間。他のページをめくってみると、目からウロコの連続だった。
こんなブログを書ける選手のどこが人見知りなのと、つい突っ込みを入れたくなってしまうほど、とにかく読者を笑わせてくれるのである。どの日もウィットに富み、表現も巧み。しかも文章構成が非常にしっかりしているので、どんどん履歴をさかのぼっていきたくなってしまう。たとえば、ある日のタイトルの「勝手に書いちゃうシリーズ」は、他のプロ仲間の素顔について、まさに「勝手に書いちゃうぞ」という主旨の連載形式なのだが、けっして下世話な暴露話では終わらず、非常に人間観察に富んだ視線で対象者を見つめ、たまにちょっぴり毒を吐いてさえ、ちゃんと相手への愛を感じさせてしまうような内容に仕上がっているのである。
意外な素顔に思わずうう~ん・・・とうなってしまった。これは、ただ者じゃないぞ、と。とにもかくにも彼のブログを読んだら、きっとファンになってしまう人も多いはず。日記を通じてコースでは見られない、選手の新たな魅力も発見できる。やっぱり、ブログは侮れない。とはいえ、もっと広くその選手なりを知ってもらう、もっとも有効な手立てはもちろん、自ら“本業”で頑張ってもらうこと。そのためにもぜひ今年こそ、ツアー初優勝を・・・・・・!! というわけで、「勝手に岩田寛を応援しちゃう」の巻でした。