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プレーヤーズラウンジ

ツアープレーヤーたちの喜び<中嶋常幸>

2007/01/13 00:27

50歳を超えて、中嶋常幸のトークが「ますます味わい深くなった」と、好評だ。昨年のある大会で、「近頃、ますます話術が冴えてきたね」と報道陣に誉められて、ポロリともらした。「実は、寅さんの影響なんだ」。故・渥美清さん演じる“フウテンの寅さん”こと車寅次郎が主人公の長寿映画「男はつらいよ」シリーズ。

もっとも、若いころは中嶋にもその良さが分からなかった。「それが最近、たまたま再放送を見て、こんなに面白い映画だったのか、と。好んで見るようになったんだ。特にあの寅さんの喋り口が好きでね。僕もあれくらい飾らないでいきたいな、なんて参考にしたりしてね」。

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ジョークとウィットを絡ませつつ、ときどきホロリとさせる。巧みな言い回しやエピソードで聴衆をグッとひきつける。世話になった方、応援してくださったファンへの感謝の言葉を忘れず、人情や恩をまず全面に押し出すスピーチは、確かに“寅さん”とダブる部分があるかもしれない。

そんな中嶋も「うんと若い頃」は、インタビューが大嫌いだったという。「今のほとんどの若手がそうだと思うんだけど、とにかく億劫だったんだ。いつも気の利いたことばかり言えるわけでもなし、出来ればインタビューなんか無ければいいとさえ思ってた」と振り返る。

各大会の本戦前日に行われるプロアマ戦もそうだった。毎週、見知らぬアマチュアとラウンドすることが、苦痛でたまらなかった。「それが今じゃ、インタビューもプロアマも楽しくて楽しくて、仕方なくなったんだ」という。

とにかく、人と会話しながらゴルフができることが楽しい。自分のトークでみんなが笑ったり、ラウンド中のレッスンで「良いショットが打てた」と、アマチュアの方に喜んでもらえたり・・・。「そういうことが最近、嬉しくてたまらなくなった」と中嶋は言う。

その境地に到達したのには、2000年前後に見舞われた大スランプが大きかったようだ。それまでツアー通算45勝をあげていた選手が賞金ランクも116位まで落ち込んで、クラブ契約を打ち切られたり、世界中から見放されたような気分さえ味わった。あの屈辱から再び這い上がってきたことが、中嶋の価値観を大きく変えた。

インタビューに呼ばれることも、プロアマの選手に選ばれることも、プロとしての人気と実力を評価してもらっているからこそ、と改めて痛感させられたのだ。

「“客寄せパンダ”って言葉があるけれど、ファンやアマチュアに喜んでもらえるならば僕は喜んで“パンダ”になろう、と。プロの使命は、素晴らしい技を見せることだけじゃない。『今日1日、中嶋と一緒に過ごせて良かった』と思ってもらうこと。この年になって、それもプロとして大事な仕事のひとつなんだとより強く思えるようになったんだ」と微笑んだ。

そんな気持ちの余裕と張りが、昨年のシニア2勝と三井住友VISA太平洋マスターズでのレギュラー優勝につながったのは間違いない。「いつまでも、中年のアイドルでいたい」という中嶋。「まだまだ、若手に負けてたまるか!」と威勢良く、今年もまた何かあっと言わせてくれそうだ。



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