ツアープレーヤーたちの倹約生活<伊澤利光>
2007/07/23 13:03
史上5人目となる生涯獲得賞金10億円突破まで、あと2000万円あまり。しかし、そんな億万長者から出たのは思いがけないセリフだった。
「もう、家も車も買えないですよ…」。
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度肝を抜いたのは、つい先日のことだった。ふと手に取った預金通帳に目を剥いた。「…なんで、お金がこんだけしかないの!?」。妻・和子さんがすかさず答えた。「全部、税金で持っていかれちゃったのよ」。「ええっ?! それにしても減りすぎでしょう。何かの間違いじゃない?」と念を押したが「ちゃんと税理士さんに相談してるから、そのへんは大丈夫よ」と和子さん。
家計はまかせっきりだった。伊澤がたまに使うといえば、趣味の車くらいだった。数年前に高級スポーツカーを購入したが、自分で一生懸命に稼いだ金だ。それくらいバチは当らないだろう。
もともと浪費家ではない。休みの日は数千円のお小遣いを握って、近くのサウナに通うくらい。それすら、お得な回数券を活用するなど、いたって庶民派。「それなのに、どうしてこれだけしかなくなっちゃったの、って本当にびっくりしちゃったんですよ」と、ため息まじりにつぶやいた。
貯金額にも、今までほとんど頓着したことがなかった。そんな夫が珍しく通帳に目をやったものだから、改めて意識せざるをえなくなった。10億円にいったいどれほどの税金が課せられるのか。聞いている我々庶民にも想像すらつかなかったが、普段ほとんど感情を外に出すことがない伊澤の話ぶりから、それがべらぼうな額であることは確かだ。「稼いでもみ~んな持ってかれて…。調子乗って使っちゃうと、そのうち税金で破産する。
いかに使うかより、いかに残すかが今後の我が家の課題です」。頑張って稼いでも、稼げなくても苦労がともなう。「まったくプロゴルファーってやつはあ・・・」とつぶやく背中には、どことなく哀愁が漂っていた。「お金より、まず自分のゴルフができるかどうかが一番大事」と言ってはばからない伊澤だったが、もう少し、貪欲にならざるをえない事情が出てきたようである。