ラストゲーム終えた上田桃子「女性として生きることも新しいチャレンジ」/一問一答
2024年 大王製紙エリエールレディスオープン
期間:11/14〜11/17 場所:エリエールGC松山(愛媛)
「最後までうまくなれなかった」 上田桃子のプロ20年間を支えた原動力
◇国内女子◇大王製紙エリエールレディスオープン 2日目(15日)◇エリエールGC松山(愛媛)◇6575yd(パー71)◇曇り(観衆1697人)
予選落ちが確実な状況で迎えた18番グリーンには、20年にわたるプロゴルフ人生でも見たことのない景色が広がっていた。おそろいの赤いシャツを着て、メッセージが入ったタオルを掲げるファン。プレーを終えて集まった選手やキャディ、関係者に上田桃子は拍手で迎えられた。
<< 下に続く >>
「精一杯やったら、こういう景色を見られるんだな」。こみ上げるものを必死に抑え、感謝の思いを込めると決めた5mほどのバーディパットは“がっつり”オーバー。「強かったですね…」と苦笑する。感動的な光景で誰もが忘れてしまいそうなボギーでの締めくくりを、本人だけが悔しがる。「最後まで3パットしてしまった。最後までうまくなれなかったなって」
第一線を退くと決め、ラストマッチを終えた会見でも「今もうまくなりたい」と言い切る。ずっと、そう思い続けてきたからだ。
「どんな時もゴルフのことを考えて、精一杯うまくなろう、強くなろう、と。毎日そう思えたことが、唯一誇れるところかなって。もう試合には出ませんけど、自分の中でゴルフが消えるわけじゃない。プライベートでゴルフをやって下手くそになっていたら、絶対楽しくない。やめるのと、うまくならなくていいのは別なんです」。長く第一線を走り続けてこられた最大の原動力は、ツアー競技を離れても消えることはない。
2007年に史上最年少(当時)の21歳156日で賞金女王となり、想像もしていなかった米ツアー挑戦も経験した。ツアー通算17勝という積み上げた数字以上に濃密で輝かしいキャリアを振り返って涙もあふれたが、後悔はない。
「もうこれ以上できないってくらい、時間を使って、頭を使って、メッチャやってきたんで。そういう気持ちがあるから、悲しいとか、寂しいとかって気持ちはあまりなくて。精一杯やったからしょうがないって気持ちになれた。ゴルフって、ホントに自分のことを映す鏡だなって思います」。晴れやかな表情で区切りをつけ、新たなステップを踏み出す。(愛媛県松山市/亀山泰宏)