<最終スコア>住友生命Vitalityレディス
2024年 住友生命Vitalityレディス 東海クラシック
期間:09/13〜09/15 場所:新南愛知CC美浜C(愛知)
「美夢有さんは最後までスキがない」 岩井明愛が“女王”との最終日最終組対決で初勝利
◇国内女子◇住友生命Vitalityレディス東海クラシック 最終日(15日)◇新南愛知CC美浜C(愛知)◇6560yd(パー72)◇曇り(観衆6514人)
ウィニングパットは1m。慎重に嫌な距離を沈めると、岩井明愛が両手を突き上げ、天を仰いだ。「結構、気持ちがきつくて。油断できなかったんで」。ツアー通算6勝目、今季3勝目。それも2年連続年間女王・山下美夢有と一緒に最終日最終組で回り、1打差で競り勝った。喜びは格別だ。
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「美夢有さんには追いつくことができないかなって思っていました」。山下とは昨季3度、最終日最終組で回った。「ブリヂストンレディス」では2打ビハインドから、「ニチレイレディス」は4打ビハインドから逃げ切りVを許した。「アース・モンダミンカップ」はともに首位タイから出て、「72」だった山下を「69」で上回ったが、プレーオフで申ジエ(韓国)に優勝をさらわれた。
この日は違った。4打ビハインドから出だし3連続バーディでチャージをかけ、8番で5個目のバーディを奪って首位に並んだ。事実上の一騎打ちとなったサンデーバックナイン。「美夢有さんは最後までスキがない。どうなるかわからない」。ひりつくようなマッチレースを、17番の3個目のバーディで抜け出した。
前週の国内メジャー「日本女子プロ選手権」の反省も生きた。「今日は“勝とうと思わなくていいや”という気持ちでスタートした。先週に“自分が勝たなきゃ”と思って、自分を追い込んでしまったんで」。竹田麗央と2打差の2位で出た最終日に2ダブルボギーをたたくなど「75」と崩れ、9位に終わった。あんな思いはもうたくさんだった。
岩井明愛というゴルファーのポテンシャルを見せつけた最終ラウンドだ。3番パー5。軽い打ち上げが入る225yd。つま先下がりで芝がはげたライから、3Wの一振りは地を這うような低弾道ショット。砲台グリーン手前でワンクッション入り、グリーン右横の刈り込みエリアへ。アプローチを絡めて余裕のバーディを奪った。
「弾道、高さもイメージ通りでした」。シャツを押し上げ、存在をアピールするように発達した広背筋。男子プロを思わせるたくましさを「そう見えますか?うれしいです」と無邪気に笑う。335ydと短い8番パー4では「ワンオンを狙った」。ティイングエリアから約270yd先のフロントエッジ、そこからピンは25yd。「いいところにキャリーすれば、奥ピンだし、いけるかなって。でも、当たりが悪くて」。それでも、渾身のドライバーショットはエッジ手前12ydの花道へ。46ydを58度でチップのように2.5mに寄せて、バーディを奪った。
その一方、パットもさえた。2番で9m、5番(パー5)で8mと序盤で長いバーディチャンスを放り込み、勢いづいた。絵に描いたような“噛み合う展開”となれば、8バーディの「64」も驚くスコアではなかった。
今大会前に来季の米ツアー参戦を目指し、同ツアー最終予選会(12月5日~9日、アラバマ州/マグノリアグローブGC)挑戦を表明した。ともに歩む双子の妹・千怜にツアー勝利数、初の大会連覇(千怜は23年、今年の「RKB×三井松島レディス」で達成)でも並んだ。「そうか。千怜と並んだんだ」と喜ぶ。2週後の国内メジャー「日本女子オープン」(26日開幕、茨城/大利根CC西コース)が大きなターゲットだが「もちろん狙いたい大会ですけど、やっぱり1試合1試合を大切に」といつもと変わらぬ笑顔を浮かべた。(愛知県美浜町/加藤裕一)