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「辛い時期がもっと続くんじゃないかと…」 西郷真央を“スランプ”から救った一言

◇国内女子◇伊藤園レディスゴルフトーナメント 最終日(12日)◇グレートアイランド倶楽部(千葉)◇6741yd(パー72)◇雨(観衆3554人)

寝違いによる首痛で2戦連続欠場したのは、昨年4月。そこから、西郷真央の“スランプ”は始まった。

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「体の負担が少なくなるように」とスイング改造に取り組んだ。ところが「試合をやっていく中で、ちょっとずつ良かったところも悪くなっていってしまった。どんどん自分の良いところが削られて、なくなってしまった」という。

昨季の最終戦「ツアー選手権リコーカップ」は通算35オーバーの最下位。出場40人で39位の尾関彩美悠とは24打差。スイングに迷い、2日目以降で1Wを使ったのは2番(パー5)だけ。ティショットが「恐怖」とこぼし、オフに入ると「クラブを握りたくなくて」と約2週間、ゴルフから離れた。

年が明け、「少しずつ、ゆっくりでもいいから練習しなきゃ」と師匠・尾崎将司の練習拠点「ジャンボ邸」へ。普段から練習を見守ってくれていた関係者から、「ドローでいいじゃん」――。その言葉が光になった。

「元々ジュニアの頃からドローを打っていたし、自然に振ったときにドローのほうが打ちやすい感覚があった。フェードにこだわっていたけど、その必要はないと思った」

必死にもがき続ける中で「気持ちが楽になった」と振り返るのは、海外メジャー「全米女子オープン」と「AIG女子オープン」(全英女子)での予選通過だ。「こんな調子でも予選通過できるくらいには戻ってきたんだな、と。海外に行って良かった」

「全英女子」翌週の「CAT Ladies」で2位に入ると、9月の国内メジャー「日本女子プロ選手権」で3位。「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」でも2位と、優勝争いに絡む回数が多くなり、「すごく自信を取り戻せた」。続けてきたことは間違いじゃない。そう思えた。

そうして迎えた今週。2打差の単独首位からスタートした最終日も、最後まで自分を信じ続けた。2番(パー3)でボギーをたたき1打差に迫られたが、5番(パー5)から3連続バーディを奪取。サンデーバックナインでも2バーディを追加して「68」。最終18番で1mのウイニングパットを沈めると、天を仰ぎ、右手で口を覆った。「今までの辛かった思いとか、色んな気持ちが込み上げてきた。辛い時期がもっと続くんじゃないかと思っていた。こうやって優勝争いすることも(スランプ)当時の自分からしたら信じられない」。1年6カ月ぶりの頂点をかみ締めた。

来週は「大王製紙エリエールレディス」(16日開幕/愛媛・エリエールGC松山)に出場。ツアー最終戦「ツアーチャンピオンシップリコーカップ」(23日開幕/宮崎・宮崎CC)は欠場し、来季米ツアー出場権をかけた最終予選会「Qシリーズ」(30日開幕/アラバマ州マグノリアグローブGC)参戦のため渡米する。

「まずはしっかり気持ちを切り替えて、また練習していきたい。Qシリーズも近づいてきているので、しっかり調整して頑張りたい」。昨季開幕戦の初優勝から出場10戦で5勝した西郷が「この優勝が一番うれしい」という。トンネルを抜けて、きっともっと強くなった。(千葉県長南町/内山孝志朗)

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