原英莉花「選手生命は短いと思っていた」 腰の手術を乗り越えつかんだ覚悟
2023年 日本女子オープンゴルフ選手権
期間:09/28〜10/01 場所:芦原GC 海コース(福井)
「ちょっと子どもに戻ったオトナな気持ち」 原英莉花の一問一答
◇国内女子メジャー◇日本女子オープン選手権◇芦原GC海コース(福井)◇6528yd(パー72)◇雨のち晴れ(観衆9127人)
原英莉花が国内最高峰競技で2020年以来2度目の頂点に立った。大会出場56回目の菊地絵理香と最終日最終組で一騎打ちを展開。首位から出て1イーグル3バーディ、1ボギーの「68」で回り、通算15アンダーまでスコアを伸ばし、菊地に3打差をつけて逃げ切った。腰の手術から復帰後8戦目のタイトルは、21年「大王製紙エリエールレディス」以来2年ぶりのツアー通算5勝目。また「24歳228日」での国内メジャー3勝は畑岡奈紗(20歳245日)、諸見里しのぶ(23歳59日)、樋口久子(23歳285日)に次ぐ4番目の若さでの達成になった。
<優勝会見一問一答>
―今の気持ちは?
「長かったんですけど“戦い抜いた”って思いが強いです」
―4日間とも60台だった
「1番でバーディがとれて、いい流れで行けるかなと思ったけど、2番のボギーで引き締まった。『ガンガン行ける感じじゃないんだな』と新たに気持ちを作り直してプレーできた」
―米ツアーの予選会(2次)に向けて、いい感じ?
「(笑って)そう思います!」
―通算5勝で国内メジャー3勝
「メジャーに強い…のかな。難しいコースセッティングで、結構、自分の味が出せたかなと思う」
―ゴルフの調子は?
「ドライバ―ショットが自分の中で、コントロールが出来ていたので、いいスコアが出せると思った。曲がる気がしなかった。思ったようなスイングと、ボールが打てていたので、自信を持って、ずっとプレーできました」
―その自信はいつぶり?
「昔、シャフトで46.5インチを使っていて、46インチになってから、ドライバー選びに苦しんでいました。ずっと、いろんなドライバーを模索して、なかなかいいショットが打てなくて。腰の影響もあったと思うけど、いつぶりかわからないくらいです。先週から久々にいい感覚が持てました。今週も(腰の)ケアなしでは難しかったけど、トレーナーさんに入念にケアしてもらって(コースの激しい)アップダウンの中でも疲れずにできました」
―最終日は18番もバーディだったら、パー5全部がバーディだった
「(笑って)うわー。やっぱり、そこ(パー5でバーディが多かったこと)がいいプレーにつながったというか、そのあとのパーパットだったり、気持ちの面でのっていけました」
―国内メジャーになると引き締まる?
「ちょっと試合の雰囲気が違うし、コースも毎年変わって、新しい気持ちで挑めるっていうのもいいのかなと思います。過去の記憶だったり…が頭を巡らずに、今の状態で戦えるのがすごくいいです」
―2021年「大王製紙エリエールレディス」で4勝目を挙げてから、辛かった時期は?
「去年ですかね。シードも…(涙を浮かべて)普通の状態なのに、とれないんじゃないかって思いながら戦っていました、夏場から。そこがつらかったです」
―支えになったものは?
「応援してくださるスポンサーさんだったり、一緒に戦ってくれるチームのみんなだったり。一緒に戦っている人がいるという思いで、頑張っていました」
―3年前に優勝した2020年大会は無観客、今年は大ギャラリーがいた
「すごく、熱い応援をしていただいて、一緒に戦ってくださるファンの皆さんがいて、すごく楽しかったです」
―今のドライバーは先週から?
「いえ(3試合前の)日本女子プロ選手権から使っています」
―新しいドライバーにして?
「(持ち球はフェードだが)つかまるイメージにしたらストレートボールになった。最初、ドローを打とうとしたらドローが出た。インパクトでつかまえる感じで」
―手術後にゴルフができる喜びは?
「感じてます。復帰戦ぐらいからワクワクしていて、楽しいだけじゃないし、戦っていかなきゃいけないっていうところで。日々、練習できることもうれしいですし、腕を磨けずに試合に挑んでいたもどかしい時期を越えて、納得できる練習をして、試合に挑める楽しさっていうのが“ちょっと子供に戻ったオトナな気持ち”というか。押し殺していた気持ちがまた復活している。すごく楽しくて、でも悔しい気持ちも持てて、いい感じでゴルフができています。『悔しい』って思った試合での気持ちを練習やトレーニングへ前向きに、次につなげられるので」
―師匠の尾崎将司には?
「ドライバ―が飛んでいないっていうことで、ドライバーを入念に見て頂いていました。シャフトを、ジャンボさんからいただく機会が2度あって、1回目はミズノさんのドライバーヘッドを使っていたときにシャフトをいただいて、試合で使わせていただいていた。今のキャロウェイのパラダイムにチェンジして、もう1回頂きました。『ちょっと不安だな』と思って、サブのも使っていたら『作り甲斐のないやつだな』って言われて。そこから口をきいていただいていません」
―今年、腰の痛みはいきなり来たのか?
「しびれてしまって『注射お願いしまーす』って行ったら、注射が効かなくて。それが福岡の試合(5月12日開幕のRKB×三井松島レディス)の前の週で。ハワイに試合(4月のロッテ選手権)に行っていて、その前にも「しびれているな」と思ったけど、向こうは(暖かいから?)大丈夫だよって言われたのでそのまま行って、本当に大丈夫だった。そこから帰って、次の川奈の週(フジサンケイレディス)からちょっとして、何か『右脚に違和感があるかな』と思いながらも、一応プレーできていた。『飛距離が落ちたな』と思ったけど、気持ちは前向きだから普通にゴルフをしていたけど、ガーンと来たので、どうしようと」
―腰を痛めて気づけたことは?
「右脚がずっと使えなくなっていたことに気づけなかったです。今は右脚の出力が出せている分、腕じゃなく捻転と(上下の)連動でボールを打てている気がするので、そこは再現性が高くなっていると思います」
―前回、2020年の日本女子オープンに勝った時と、今回勝ったことの意味は?
「この舞台はいつまでたっても憧れです。2回もカップに名前を刻めたことはすごくうれしいなと思います」