岩井千怜のプロフィール&クラブセッティングなど
2023年 宮里藍 サントリーレディスオープンゴルフトーナメント
期間:06/08〜06/11 場所:六甲国際GC(兵庫)
「ファンの皆さんために」 岩井千怜が窮地から優勝を引き寄せたマインドセット
◇国内女子◇宮里藍 サントリーレディスオープンゴルフトーナメント 最終日(11日)◇六甲国際GC(兵庫県)◇6513yd(パー72)◇雨(観衆3390人)
「やっぱり来たか…」。国内27勝、米11勝の申ジエ(韓国)が、後ろからじわじわと迫ってくる。スタート前に5打あったリードは、後半11番(パー3)を終えて1打差になっていた。「このままバーディを獲らなければ、波に乗ったジエさんに抜かれる」。同組で回る岩井千怜に、焦りが広がった。
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3日目までに通算19アンダーまで伸ばして後続を寄せつけなかったが、最終日は前半2バーディと伸ばし切れない。3打差で後半に入ると、10番の2打目はバンカーで“目玉”になり、3打目は出すだけでボギーとした。「次にバーディを獲ればいい」と切り替えたが、申が11番で長いバーディパットを決めて1打差に縮まった。
「自分のゴルフをするだけ」と言い聞かせて次のホールに向かう途中、ふと眉間にシワが寄っていることに気づいた。普段から「お客さんを楽しませたい」をモットーにプレーしてきたが、優勝争いのさなか、自分にプレッシャーをかけて周囲が見えなくなっていた。「険しい顔では、見ている人もおもしろくない。歓声が聞きたいと考え方を変えて、ファンの皆さんのためにゴルフをしようと思った」と、自分のショットで会場が沸くイメージに切り替えた。
12番(パー5)の3打目を2.5mにつけるバーディで2打差に戻すと、歓声に背中を押されるように息を吹き返した。14番は9Iで打った2打目を50センチに絡めてバーディ。16番(パー3)では「ここでナイスショットしたら、わたしカッコいいんじゃないかなと思った」という一打を3m弱につけ、5つ目のバーディを奪取。通算23アンダーに伸ばして申と5打差に戻し、ようやく勝利を確信した。
18番でパーパットを沈めると、イメージしていたとおりの歓声に包まれて今季2勝目を手にした。初日から首位を守っての完全優勝は自身初。「エネルギーを使って4日間やってきたので、頑張ってよかった」と笑顔を見せた。
この優勝で、8月の海外メジャー「AIG女子オープン(全英女子)」(イングランド・ウォルトンヒース)の出場権を獲得。「出られてうれしい。宮里藍さんのように活躍したいという気持ちが、もっともっと強くなりました」と、海外で大歓声を浴びる自分の姿に思いをはせた。(神戸市北区/谷口愛純)