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5回目プロテスト挑戦の識西諭里 「念じて」狙う1位合格

新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期された日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の2020年度プロテストは6月22日から最終プロテストが始まる。未曽有の事態の中、今回も多くの選手が合格率「3.3%」ともされる狭き門に挑戦してきたが、彼女たちは何を思い、クラブを握ってきたのか? その素顔に迫る。

■故清元登子さんの言葉「念じないと」を実践

24歳の識西諭里(おにし・ゆり)は毎日、念じている。「私はプロテストに必ず合格する」。目が覚めてすぐに、運転中に、練習中に…。過去4回のテスト前には「いよいよ近づいてきた。合格したい」と願っていたが、それでは足りないことが分かってきたから。きっかけは、不動裕理大山志保古閑美保と3人の賞金女王を育てた故清元登子さんの著書「清元登子 魂のレッスン」(ゴルフダイジェスト社)だったという。

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「19歳の頃、手にした清元先生の本に『プロテストは願っていても受からない。念じないと』と書かれていたのを思い出しました。そして、読み返しました。前は他人事のように思いながら読んで、『念じる』ことが理解できていませんでした。でも、今はそれができている気がします」

識西は「念じ」ながら、1次予選から1位通過を目指してきた。結果は山口会場(周南CC)での1次予選で5位タイ、茨城会場(ザ・ロイヤルGC)での2次予選で11位タイ。目標の「1位」はならずも、どちらも余裕を持っての通過となった。

「正直、悔しいです。特に2次は、自分のスイングに気持ち悪さを抱えたまま臨んで、4日間を通して苦しかったです。素振りの時点で『違う』『狙ったところに行く気がしない』と思いながら、耐え続けました」

それでも、通算6オーバーにまとめてカットラインを4打上回った。前回19年度テスト2次では、1打足りずに不通過。「最終ホールはパーで通過する」と決めつけ、残り3mのバーディパットを狙いにいかなかったことを後悔したが、今回は「通っても悔しい」と言えるほどになった。

「確かにうまくはなっているとは思います。もう、『あと1打』に泣くのは嫌ですし、カットラインではなく、常に自分の目標に向けてプレーするようにもなりました。それに、テストが始まったら、『調子が悪い』とは言ってはいられませんから」

■「合格」イメージした待ち受け画面とインタビュー映像

この2年で識西の環境は大きく変わった。まず、多くのプロが師事する井上透コーチから指導を受け始め、「そのスイングでいい。他人を参考にする必要はない」と告げられた。井上氏のYouTubeでは「見るだけでうまくなるスイング」と紹介され、周囲から「すごくきれい」と言われるようになった。ゴルフ番組に出演する機会も多くなり、「ゴルフサバイバル」(BS日テレ)では、父親との口喧嘩シーンが放送されて話題になった。

「スイングを褒められることは、うれしいです。ただ、自分の中では、もっと力強さが欲しいですし、どんなスイングでも『いいスコアで上がることが全て』という思いが強いです。それと、父とはいつもあんな感じなので、反響の大きさに驚いています。でも、仲はいいですよ。最近は一緒に行動する機会が少ないですが、ちゃんと見守ってくれています」

昨年3月に設立された「DSPE」(ツアープロを目指す女子ゴルファーを支援する団体)のメンバーにも名を連ね、直近6月の月例競技会では3位に入った。スイング中の「気持ち悪い感覚」は「消えた」と言い、最終プロテストの会場になる静ヒルズCC(茨城県)での練習ラウンドも重ねている。識西は、ドライバー平均飛距離は250yd以上でDSPE内でもナンバーワンの飛ばし屋ゆえに「コースの長さは感じません」。その上で「全体的に戦略性に富んでいて、グリーンは速さも硬さも出せる感じですし、スコアが出そうで出せないと思います。それでも、私は2次までと同じで1位を目指します。調子がいいとか悪いとかは関係なく、気持ちは誰にも負けない自信はあるので」と言い切った。

プロテスト合格を「念じて」きた流れで、識西の頭には「合格者」として、インタビューを受ける映像も浮かんでいる。「YouTubeなどで、これまでの合格者が何をコメントしてきたかも調べました。ちなみにスマホの待ち受けは、成績表の1位を指さす私の画像にしています。合成なんですけど(笑)」

悲願の合格に向け、気持ちづくりも含めて全ての準備が整っている。2次予選後に行われた21年度日本女子オープン地区予選(埼玉・狭山GC、参加者119人)でも堂々の6位通過。あとはさらに「念じ」て、6月22日を迎えるのみだ。

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