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自身も登場 松山英樹の自叙伝「買いました」 原敏之が上り始めた階段

◇国内男子◇パナソニックオープンゴルフチャンピオンシップ 初日(19日)◇有馬ロイヤルGC ロイヤルコース(兵庫)◇7100yd(パー72)

松山英樹が日本人男子初のメジャー制覇を成し遂げた2021年に出版した初の自叙伝『彼方への挑戦』(徳間書店)。香川出身の33歳・原敏之(はら・さとし)は、その中に登場する選手の一人だ。松山は原について、同じ四国のジュニア大会で顔を合わせた数少ない同級生として「小学6年生の春の大会のプレーオフでぶつかり、自分のライバルだと思った。たくさんのことを話せる仲だったし、なによりゴルフで競い合える、負けたくないと思える存在だった」とつづっている。

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原は「本、買いましたよ。それ(自分の名前が出ている)だけで」と笑う。冗談めかしつつ、自らに大きな影響を与えた存在だとうなずく。「小学校4年生になる時の春休み、僕が初めて出た試合が彼を含めて3人だけだったんです」。小学2年から試合に出場していた松山との実力差は明らかだったが、それが負けん気に火をつけたという。

「『同い年にこんなヤツがいるんだ。頑張って練習してみよう』ってモチベーションになったんです。あれが(同学年に)いなくて、みんなが(年上で)すごいうまいとか、もしくは自分と同じくらいで和気あいあいみたいな感じだったら、もしかしたら、続いていなかったかもしれない。彼の存在は僕がゴルフを続ける上ですごく大きかったですよ」

肩を並べて競い合った相手は、数々の偉業を成し遂げて長年世界トップレベルを争う存在になった。両手の間隔を上下に目いっぱい広げて「今はもう、こんなん(大きな差)ですけど…」と笑いながら、人生のターニングポイントとして幼少期の出会いに感慨がにじむ。

「そういう意味では、僕はやっと(階段を)上り始めたところです」。レギュラーツアーでコンスタントに出場機会を得た昨季前半戦。いきなり5戦連続で予選落ちを喫するなど、14試合で予選通過わずかに4回と壁に跳ね返された。それでも、「消去法じゃないですけど、『これはダメ、あれもダメ…』と繰り返して『じゃあ、これしかない』とやることがだいぶ絞られた状態でオフを迎えることができた」と振り返る。

使い続けていたヘッドが大きめのパターでは距離感が出づらいことを踏まえた相棒の選定、球筋をドローに絞ったショット…。4月の下部「ジャパンプレーヤーズチャンピオンシップ チャレンジin福井」で飾った13年目の初優勝は、コツコツと積み重ねてきたトライ&エラーの結晶だ。

この日はフェアウェイキープ率100%(14/14)で初めて1ラウンド2イーグルも記録。7アンダー「65」で伸ばし合いの展開にしっかりとついていった。「まだ初日なので。2日目も自分を見失わずにできれば」。背筋を伸ばし、自分なりの一歩一歩を刻んでいく。(神戸市北区/亀山泰宏)

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