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“歩測”なしで育った新世代 初出場の17歳がプロキャディの力借りベストアマに

◇国内男子◇ANAオープン 最終日(15日)◇札幌GC 輪厚C(北海道)◇7066yd(パー72)◇曇り(観衆3532人)

手にしたタイトル以上に、目いっぱい勉強した時間に充実感がある。目黒日大高3年の上村大和(かみむら・やまと)は出場した4人のアマチュアのうち唯一決勝ラウンドに進出。通算1アンダーの59位でベストアマに輝いた。

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ツアー出場は人生で初めて。「(開幕前は)緊張して練習場でなかなか(芯に)当たらなかった」というのも無理はない。足元に広がるのは、生まれ育った千葉県ではなかなか経験できない北海道の洋芝。なにせ目の前には歴戦のツアープロばかりがいた。

ナーバスになる材料がたっぷりある状況で、2日目に「67」をマークして予選を見事に通過した。週末に「74」を並べた後退が悔しい。「初日、2日目はアドレナリンが出て体力を使いました。3日目からはやっぱり(たまった)疲れと、少しずつ『プロの方と回っているんだ』という緊張で崩れてしまった。体力のなさを痛感しました」と真剣に振り返った。

初めてのプロ競技への出場は昨年「進藤大典ジュニアトーナメント supported by アイダ設計」で優勝(高校男子の部)したことでかなった。松山英樹ら多くのトッププロをサポートしてきた進藤キャディが、優勝者のキャディを務めるのが恒例の特典でもある。

176㎝のスラリとした体格から繰り出す、躍動感たっぷりのスイングに、進藤さんは目を細めた一方で、「最近の若い選手は“歩測”をしたことがないんです」と明かした。ゴルファーは長らく、コース内に設けられた目印を頼りにターゲットまでの距離を歩いて測ってきたが、近年は競技ゴルファーの多くが距離計測機器を使っている。

進藤さんが初めてレーザー距離計を買ったのは大学卒業からキャディの道に進んだ3、4年後だったという。6歳でゴルフを始めた上村はというと、小学校高学年のときには計測器をコースで携帯するようになった。コロナ禍以降のセルフプレーの需要も高まりもあって、市場は今後さらに広がる可能性がある。

とはいえ、PGAツアーをはじめとした世界のトップツアーでは依然として機器による試合中の計測を認めていない。日本のレギュラーツアーも今季ここまで使用できたのは2試合だけだ。だからこそ、17歳アマとツアーキャディの事前コースチェックは歩測のやり方を伝えることからスタートした。9月の女子ツアー「ゴルフ5レディス」に出場した遠藤桂音(明秀学園日立高3年)をサポートした際も同じだったという。

上村が今週、コースのメモに書き込んだ情報量は「いつもの2倍くらい」に膨らんだ。「トッププロの方々のメモの書き方を勉強させてもらいたいと思っていました。メモもそうですけど、風の計算も教えていただいて、最終日につれて自分でもやってみるようにしました」。代えがたいのは、これまでで一番の大舞台の雰囲気だけではない。1週間、ペンを必死に走らせた紙切れも財産になる。(北海道北広島市/桂川洋一)

■ 日本ゴルフツアー機構(JGTO)ハードカード

14.距離計測機器(規則4.3)
(中略)
ラウンド中、プレーヤーは電子的な距離計測機器を使用して距離情報を得てはならない。
注1:委員会承認の競技は除く(例えば、ABEMAツアー、QTやセルフプレー承認競技など)
注2:距離以外に高低差の情報は得てはならない。

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