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勝負の13番で見せたパワーゴルフ 平田憲聖が手にした最高の3勝目

◇国内男子◇長嶋茂雄招待セガサミーカップ 最終日(14日)◇ザ・ノースカントリーGC(北海道)◇7096yd(パー71)◇晴れ(観衆3819人)

パー5の13番(565yd)で1Wショットを打った後、第2打地点に着いて、平田憲聖は考えを変えた。残り距離は245ydだが風は強めのアゲンスト。ピン位置はグリーン左前に広がる池を越えてすぐの場所だ。

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「難しいシチュエーションだし、ティイングエリアでは“2打目はレイアップでいいか”と思ってました。でも、予想より10ydは前に飛んでいた」

3Wで2オンを狙い、ピン右奥18mに乗せた。直前の12番で3パットのボギーを打っていたから2m弱の2パット目はしびれたが、「ここで取れたら大きい」と必死でバーディを奪った。昨年ならできなかった狙いでバウンスバック。平田なりのパワーゴルフだった。

ドライビングディスタンスはプロ転向1年目の2022年が280.74yd(61位)、23年が286.26yd(55位)で、今季は290.88yd(37位)まで伸びた。それに伴いパーオン率も急上昇。昨年の66.931%(30位)から72.361%(4位)になった。

「1打目が今より飛べば、ゴルフが明らかに楽になる。パットとかももちろん大事だけど、一番早く結果に結びつくのは飛距離アップ」。昨年10月、日本開催の米ツアー「ZOZOチャンピオンシップ」で6位になり、2週後のメキシコ開催「ワールドワイドテクノロジー選手権」にも出場した。世界と日本の差を肌で感じた。だから、オフは「飛距離アップ」を最優先にしたトレーニングに取り組んだ。

昨年は126位で予選落ちした大会で、4日間とも60台をマークして勝った。「今年はゴルフが楽になったのが、自分でもわかりました。ショートカットで狙えなかった場所で狙えたり。どのホールでも(グリーンを狙う)番手は変わったと思います」

勝った相手も特別だ。大阪生まれの自分に対し、兵庫生まれの蝉川泰果とツアーで初めて最終日最終組でプレー。17年「関西アマ」では自分が優勝、蝉川が2位などジュニア時代から関西でしのぎを削った同学年のライバル。「蝉川選手は意識する存在。きょうは脅威になると感じていた。“僕が伸ばさないと勝てない”と、毎ショットで思っていました」。「70」と伸ばしきれなかった蝉川を上回る「68」で抑え込んだ。

昨季は国内メジャー「日本プロ」を含む2勝を挙げてブレークしたが、今季は「昨年以上に大事になる」と思ってシーズンを迎えた。だから「今日の1勝は、昨年の2勝より特別。自信になります」と喜ぶ。

小木曽喬石川遼らかわいがってくれる先輩プロが勝つのを横目に、焦りが募った後の今季初優勝。しかし、今季ツアー全11戦すべてで予選通過しているのは、平田だけ。安定感もパワーも増した23歳は「このまま4勝目、5勝目も挙げたいです」と声を弾ませた。(北海道千歳市/加藤裕一)

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