石川遼のスイングをスーパースローで見る
遼・勇太が築いた新時代/2009年国内男子ツアーレビュー
片山晋呉の賞金王奪還、石川遼の躍進など、近年にない盛況のもとに幕を閉じた2008年。迎えた2009年度の賞金王争いは、4月の国内ツアー開幕前から片山が大きなアドバンテージを手にする。2月から4月にかけた海外競技3試合で活躍を見せ、4,900万円あまりを獲得。特に「マスターズ」では日本人選手としては過去最上位となる4位に入り、充実の仕上がり具合を見せた。
片山が優位に立って迎えた開幕だったが、序盤戦をリードしたのは昨年に初勝利を挙げている小田孔明。開幕戦を制すと、その後もコンスタントに賞金を重ねて目覚しいプレーを続ける。その間、兼本貴司や五十嵐雄二らが初勝利を挙げるなど、若手とベテランが相まって主役が週代わりで入れ替わる戦いが続いた。
<< 下に続く >>
そのこう着状態を解き、激動の展開へと導く呼び水となったのが、6月の国内メジャー「日本プロゴルフ選手権」。レギュラーツアーフル参戦1年目の池田雄太がツアー初勝利を飾ると、続く「ミズノオープンよみうりクラシック」では石川遼が追うようにシーズン初勝利を手に。その後も互いに1勝ずつを挙げて迎えた9月の「フジサンケイクラシック」では石川が今季3勝目、自身初となる賞金ランキングトップへ。池田も負けじと「キヤノンオープン」、「ブリヂストンオープン」と勝利を重ね、石川を抜いてトップへ返り咲くなど、若手2人による熾烈な争いが週を追うごとにクローズアップされていった。
だが、ここに来て10月に痛めていた池田の右手首が悪化。かばうことで腰痛を発症するなど、終盤は欠場の可能性も口にするほどの満身創痍だった。その影響もあって失速した池田と対照的に石川は賞金を着実に重ね、18歳と80日という史上最年少での賞金王を獲得。シーズン終了後に行われた表彰式では史上最多の9冠に輝くなど、大きな飛躍を遂げる1年となった。石川と池田の活躍も手伝い、年間の総ギャラリー数は昨年を上回る586,850人を記録。視聴率も軒並み10%台をマークし、男子ゴルフ人気の復興は着実に進んでいることを再認識させられた。今シーズンは石川の活躍はもちろん、男子ツアーにとって大きな収穫となったのが池田の台頭。池田の存在なくして、今シーズンの盛況は無かったと言っても過言ではないだろう。
他にも、「日本オープン」でツアー初勝利を飾った小田龍一、最終戦「日本シリーズJTカップ」で10年ぶりとなる国内ツアー制覇を遂げた丸山茂樹など、多くのドラマが生まれた2009年。石川の出現がきっかけとなり加速度的な勢いで増している男子ゴルフ人気だが、まだまだ衰えの気配は見えない。