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得意なラインを残す 杉山知靖を導いた“逆算力”

◇国内男子◇ブリヂストンオープン 最終日(10日)◇袖ヶ浦カンツリークラブ 袖ヶ浦コース (千葉)◇7119yd(パー71)

一打一打に集中する―。使い古されたフレーズのようで、初優勝がかかるプレーヤーにとっては極めて難しいテーマでもある。28歳の杉山知靖はそれをやってのけた。

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同じ最終組を回る片岡尚之に並ばれて迎えた後半15番は400ydのパー4。手前から12yd、右から4ydというピン位置に対して冷静に計算を働かせた。

「きょうの全体的な流れを見ると、フックラインが入っていた。今日のピン位置なら、ちょっと下りになっちゃうけど、上につければフックラインでバーディパットを打てる」。ティショットで3Wを持たずに5Wを握ったのは、セカンドでPWを持つため。「本当は右につけるのがベストだけど、右は4ydしかない。左に行かない距離、打ち方ができるピッチングを持つための5Wでした」と振り返る。

残り126ydからコントロールショットで狙い通り2.5mのフックラインを残してバーディ。続く16番(パー5)も獲って2連続バーディで通算19アンダーとして片岡を突き放した。「片岡選手がいい流れで来ているなとは感じていたけど、自分にできることをするだけだった。一番は自分にとって良いラインのバーディパットを打つこと。(ラウンドを通して)ピン位置から逆算して、ティイングエリアからゲームを組み立てた」。堂々の逃げ切りだった。

プロテストに合格した2016年、QTをサードで失敗。翌17年はほとんど試合に出られない現実を突きつけられ、「QT直後は悔しくて夜も寝られなかった」。それでも、ゴルフと向き合うことからは逃げなかった。「自信をつけることも、技術をつけることも、練習しか答えを出してくれない」。再びQTからはい上がり、プロ7年目となる今年だけで下部ツアー初優勝、レギュラーツアー初優勝、そして日米共催「ZOZOチャンピオンシップ」の切符まで手に入れた。

「素直にうれしい気持ちとここまで応援してくださった皆様に感謝の気持ちでいっぱい。今回の優勝の結果におごらず、感謝の気持ちを忘れず、日々精進していきたい」。素朴なコメントに喜びがにじんだ。(千葉市緑区/亀山泰宏)

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