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日本人初のフェニックス覇者 中嶋常幸が大会勇退「好きだからこそ」

◇国内男子◇ダンロップフェニックストーナメント 2日目(22日)◇フェニックスカントリークラブ(宮崎)◇7027yd(パー71)

かつて、「日本人は勝てない」と言われていたダンロップフェニックス(※)で、初めて日本人として優勝トロフィを掲げたのが1985年の中嶋常幸。65歳となって臨んだ今大会は2日間を通算18オーバー81位の予選落ちで終えると、静かに言った。

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「フェニックスは今年で終わりって心の中で決めていた。相談すると止められちゃうし、自分の中で決めていて。まあ、だからうちの母ちゃんも察して来たんだよね。何も言わないのにスーッとね。やっぱり最後ぐらい…観てあげたいと思ったんじゃない…」。言葉を詰まらせると、瞳からは涙があふれた。

1日中、雨が降り続いた2日目。距離は長くなり、中嶋にとっては難しいコンディション。「まあ、よく回りましたよ。悔しいけどね。こんなスコアしか出せない…。まあ、しょうがない」。不甲斐なさと、やりきった達成感。ひと言では言い表せない複雑な感情が交錯した。

「やっぱり、引き際っていうのもある。この大会が好きだし…。好きだからこそ、もう今年で」。

律子夫人、長女・佳乃さんら家族が到着した後半には、4番(パー5)、5番と連続バーディの見せ場も作った。思い入れがある特別な大会。だからこそ、引き際も大切にしたかった。

「これからもゴルフは続くし、競技もまったく出ないわけじゃない。ジュニアを育成して、そのジュニアを教えるために、自分もレギュラーに1つ、2つ出るのは大事な勉強にもなると思う。ただ、フェニックスっていう話じゃない。フェニックスは選手としてじゃなく、違うかたちで協力していきたい」。大会を彩ったレジェンドとの別れを惜しむように、宮崎にはまだ雨が降り続いていた。(宮崎県宮崎市/今岡涼太)

※ダンロップフェニックスの第1回は1974年。1973年は全日空フェニックス(優勝者は宮本康弘)

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