師匠である今堀りつとの出会いを振り返る

前田陽子初優勝の舞台裏にはもう一つの背景があった。ツアー5勝、482試合連続出場を記録して「鉄の女」の異名を持ち、後に師匠となる今堀りつとの出会いである。高校の先輩である吉田藍子から紹介され、今堀の所属先のよみうりカントリークラブでラウンドしたのが最初の出会い。「何が何でもやり通す、その気持ちがあなたには足りない」。今堀は試合で勝つためのゴルフと試合に向き合う“根性と精神”を前田にたたき込んだ。今堀に習い始めた翌年の2013年のQT（クオリファイング・トーナメント）でツアーフル参戦の権利を獲得して自信がついた。未勝利のまま迎えた2014年シーズン最終盤の「伊藤園レディス」。3日目が終わり初の優勝争いを前に緊張する中、二人三脚を続けてきた今堀から「あなたには失うものなど何もないのだから、自分のやるべきことをしっかりやってきなさい」と電話で励ましの言葉をもらった。「今堀さんの言葉を聞いて、開き直れた。良いプレーができた」と振り返る。

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初優勝を達成してからも今堀は「2勝目が大事なのよ」「このまま終わればまぐれと思われるわよ」と浮かれる隙を与えず、挑戦し続ける状況を用意してくれた。2015年「サマンサタバサレディース」で2勝目を飾る頃には「自分のゴルフ」というものが少し見えるようになり、「勝ちにいって勝てた」と言えるまでになった。前田は現在もステップアップツアーを主戦場として活躍している。今堀の教えは今も、前田陽子を強くしている。