インサイドストーリー@2013 PGAマーチャンダイズショーレポート ~テーラーメイド編 part3~
全米プロゴルフ協会(PGA)が主催する世界最大のゴルフ ショー、「2013年PGAマーチャンダイズショー」にて、GDO編集長が普段聞けない「インサイドストーリー」を話題のブランドのキーパーソンに突撃取材!
●テーラーメイド-アディダス ゴルフカンパニー チーフ・テクニカル・オフィサー ブノア・ビンセント氏
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入社する1989 年以前は、航空機のターボチャージャー付エンジンの研究に従事、エンジニアとしての経歴を歩み始めました。入社後は開発の陣頭指揮を執り、「バブルシャフト」、「300 シリーズ」のドライバー、フェアウェイウッドおよびアイアン、「500 シリーズ」のドライバーからはじまり、「r7 クワッドドライバー」、「R9 ドライバー」、「R11 ドライバー」に搭載されている革新的な調整機能や、「R11 ドライバー」のホワイトヘッド、「ロケットボールズ」フェアウェイウッド、「ロケットブレイズ」アイアンに搭載されているスピードポケットなどの開発にも貢献しました。
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GDO「開発ストーリーを教えてください」
ブノア氏「“R1ドライバー”の、たった1つの共通ヘッドをユーザーが自分でロフト調節するというコンセプトが受け入れられるのかどうか不安でした。ふたを開けてみれば、心配は無用で、ユーザーは自由にロフトを変えられることに大変な価値を見出したのです。高いお金を払って、あえてロフト12度のクラブを買うゴルファーはあまりいません。例え自分にマッチしていなくても、ロフトがたっていて、飛ぶ可能性があるクラブを買ってしまうのです。例えばウェアのサイズがMと思い込んでいる人はMサイズしか買いません。でもそのウェアが調節可能ならどうでしょう。Sサイズに調節してみたとき、よりフィットしている可能性があります。自分に一番合うスペックを使うことができるし、今後、何を選ぶべきかの判断が全く変わってきてしまうのです」
GDO「素晴らしいコンセプトですが、あまりにも完璧な製品すぎて、次の開発に影響はありませんか」
ブノア氏「“革新が革新を生む”と信じています。ドライバーで成功した技術をフェアウェイウッドで、さらにその技術をアイアンに適用することもできます。ドアを開けると、その先にドアがあって、そのドアを開けるとさらにドアが続いていくようなものです」
GDO「心配はしていないのでしょうか?」
ブノア氏「心配なんてありえません。日々、本当に楽しく仕事をしています。アイデアは尽きることが無いし、プロトタイプはたくさんできています。ただ、100万~200万人以上の世界中のゴルファーが使う製品に仕上げるまでが、大変長い道のりなのです」
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GDO「日本マーケットを意識した開発をおこなっていますか?」
ブノア氏「カリフォルニア州カールズバッドにある本社には、日本マーケット専用の研究開発、マーケティング、そしてデザインチームがあります。日本マーケットはインターナショナルマーケットに大きな影響力があることもわかっていますので、日本マーケットで勉強したことを多くの国々に反映させています」
GDO「日本マーケットの重要性を教えてください」
ブノア氏「米国につぐ2番目に大きなマーケットですので収益性における重要性が高いのは当然ですが、研究開発の面でもとても重要です。日本のゴルファーは米国に比べて機能の革新にとても敏感で、賢く、高い興味を持っています。日本専用製品で最も新しい技術を搭載し、グローバルで展開する前にリサーチをしています。チタンを超えた新素材を採用して話題になっている“グローレ リザーブ”はその良い例です」
GDO「グローレ リザーブの開発に費やした時間は?」
ブノア氏「採用している技術の特許を取得したのは2003年ですので10年前になります。複雑で難しく、チャレンジングな開発でしたが、とてもユニークで素晴らしいテクノロジーが実現できましたし、グローバルで採用できると革新しています」
GDO「次は何を開発予定ですか?」
ブノア氏「ゴルフの分野ではドライバーの技術革新をアイアンに修正し、応用することが多いのです。打ち出し角が高く、スピン量が少ない打球を打てるドライバーを開発するのはとても難しいですが、もし開発ができたなら世界中のゴルファーが欲しがるでしょう。そのような技術をアイアンに応用し、革新的なアイアンを創り出したいと考えています」