クラブを折った岩田寛は最終ホールで棄権「実力不足」
岩田寛34歳、米国で戦っていく心の整理学
米国男子下部ツアーの最終戦「ウェブドットコムツアー選手権」(フロリダ州、TPCソーグラス・ダイズバレー)は3日、3日目の競技を行った。岩田寛は1イーグル、4ボギー、1ダブルボギーの「74」(パー70)とスコアを落として、通算3アンダーの30位に後退した。この順位のまま終えた場合、下部ツアーを経た選手50人に与えられる来季PGAツアーの優先出場順位は、28番目となる。
「途中で終わったと思ったけど、首の皮一枚つながった」
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今週、ウェブドットコムツアーのファイナルシリーズ4戦目(最終戦)を戦っている岩田だが、こちらに来て痛感したのはコースの厳しさの違いだという。岩田流に言えば「キレたら終わり」。感情の波が激しいと自認する岩田だが、前週までの3試合は必死に自らを制御してきた。だが「切り替えてやらなくちゃと思い続けていたら、イライラが止まらなくなった。頭が痛くなったりした」と、激情を抑えつけることは容易ではなかったという。だから、今週はテーマを決めた。「適当じゃないけど、良い加減でやろう」と。
初日、2日目はうまくいった。特に2日目は「今日よりひどかった」というショットながら3アンダー「67」。「切り替えがうまくできた」と満足した。
だが、3日目は1番からつまずいた。グリーン右手前のラフからアプローチを2回ミスしてボギーとし、3番ではティショットをクロスバンカーに入れると、ダフった2打目をすぐ先のバンカーに入れ、3打目も出ず。4オン2パットのダブルボギーとした。3番のティショットを打ち終えた岩田は、キャディにこう伝えていた。「今日は全然ダメ。集中できない――」。
岩田は、「普通」→「怒り」→「やる気がなくなる」という段階を踏んで精神状態が変化していくと自己分析する。このときは「怒りを省いたら、すぐにやる気がなくなっちゃう」という状態に陥っていた。ミスをしても、あまりに淡泊に受け止めていては次が続かない。ようやく、その問題に対する答えが見つかったのは、終盤になってからのことだった。
「ちゃんと、良い加減にやっているのになんでだろう?って。考えたら、イメージを出すところから適当になっていた。イメージはちゃんと作って、球のところに立ったら適当というか良い加減でやる。それを残り3ホールでやったらうまく行った」。
15番は3mのパーパットを沈めて粘り、16番は236ydの2打目を本間ゴルフのユーティリティ型アイアンTW-Uの3番(21度)で5mにつけてイーグル奪取。「イーグルも大きいし、その前のパーも大きい。考えてみたら全部大きい」。自身の弱さを直視して、改善する計画を練って、実践した。スコアだけ見れば「74」だが、これまで見た中でも実に印象に残る18ホールの戦いだった。(フロリダ州ジャクソンビル/今岡涼太)
今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka