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2023年 AT&Tバイロン・ネルソン
期間:05/11〜05/14 場所:TPCクレイグランチ(テキサス州)

ジェイソン・デイ復活の陰にあった「右わき空けシャドースイング」

長く向き合い続けてきたスイング改造

最終日に9アンダーというビッグスコアを出し、通算23アンダーで5年ぶりの優勝を収めたジェイソン・デイ。クリス・コモコーチ(タイガー・ウッズの元コーチ)のもと、約3年前より行ってきた大幅なスイング改造がようやく結果として現れた。

試合後の会見で、デイは改造に踏み切った理由を次のように説明した。「ここ何年間かクリスと一緒に体の動きを見直してきて、自分がちゃんとした体の使い方で打てるようにスイングをブラッシュアップしてきたんだ。若い選手も増えてみんな飛距離も出るしね。自分も年をとったし、スイングを変える必要があったんだ」

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夜中にスイングのことを考えて眠れなくなることもあり、深夜1時にコーチに電話をして「クリス、こう動くといいと思っているんだけどどうかな…」と相談することもあったとか。30歳近くまで長年やってきたスイングを変えるのだから、その改造の難しさは形容しがたいものがある。

どこかで見たことあるような…石川遼?

この優勝からわずか一週間前、デイはかつて優勝したことのある「ウェルズファーゴ選手権」で予選落ちを喫していた。2日目のラウンドを終えて、日没が迫っていた練習場に直行。一人黙々と球を打った。球を打ってはキャディが撮った動画を見て動きを確認する。スイングを見ている限り、以前より明らかに手を使わなくなったが、気になったのはそのシャドースイング。この動き見覚えがある。どこかで見たような…。

誰に似ているのか思案していると、一人のプロが思い浮かんだ。そうだ、石川遼だ。石川はここ数年、ダウンスイングで右わきを空けたまま手を下ろしてくるシャドースイングを繰り返しており、デイの動きもそっくりだった。

石川は確か「右サイドの力をボールに伝えるため」にわきを空けるような動きをしていたはずだが、デイはいったい何のためなのか。気になったので練習後のデイに直撃すると、「ダウンスイングで右ひじが体の前に入ってきやすく、それをしたくないんだ。だからこんな風にちょっと右サイドを広げるような感じで手を下ろしているのさ」と身振り手振りで説明してくれた。

デイはさらに続ける。「右ひじが体の前にくると、ひじがあばらを押して上体が起き、それによって腰もスライドしてしまう。だから右腕を体からちょっと離して下ろす動きが必要なのさ」

右ひじを絞らないことで腕が体から離れて下りやすくなり、「スーパーシャロー(低い位置から)にクラブを下ろせるんだ」とデイは言う。「クリスと一緒に取り組んでいるのはシャローな動き。シャローに動かしてなおかつ、ここ(ハーフウェイダウン)から左下に向かって体とクラブを回していくイメージだ。想像しただけでも難しいだろ?でもそれにトライしているんだよ」。そのシャドースイングを見る限り、下ろしてきている腕が右太ももにぶつかりそうだった。

スイング改造は「自分との闘い」

夕闇の迫る中での猛練習が、わずか一週間後に最高の形で報われるとは、本人も想像できただろうか。バイロンネルソンの最終日、18番(パー5)を1打リードで迎えたデイは、残り79ydからの3打目を60cmに寄せて後続を突き放し、これが事実上のウィニングショットになった。降りしきる雨の中、スピンのかかったウェッジのコントロールショットは、まさにその取り組んできたスイングの結実だった。

追いすがるスコッティ・シェフラー(26歳)やオースティン・エックロート(24歳)ら若者を振り切って勝ち取った復活優勝。「(スイングは)理想のギリギリのところまでいい方向に行っているよ。自分自身で成長を諦めちゃうのは簡単だからね。結局はネガティブになろうとする自分との闘い。投げ出したくなってしまうこともあるけど、そうならないように頑張っているんだ」。35歳でのスイング改造の成功は、何よりも重みがある。(テキサス州ダラス/服部謙二郎)

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