ヤニ・ツェンのスイングをスーパースローで見る
2012年 全英リコー女子オープン
期間:09/13〜09/16 場所:ロイヤルリバプールGC(イギリス)
ヤニ・ツェン、R.マキロイから得た学び
今季のヤニ・ツェンの成績は、まるでジェットコースターのようだ。開幕戦からの5試合で3勝を挙げ、9試合で8度のトップ10と無類の強さを発揮していた。ところが、6月の「ウェグマンズLPGA選手権」で59位に沈むと、その後の4試合で3度の予選落ち。唯一予選を通過した「全米女子オープン」も50位タイと振るわなかった。
その間、ヤニは「メンタルの問題」と言い続けていたが、ショットは曲がり、パターは決まらず、世界ランク1位の面影は消えかけていた。コーチのゲーリー・ギルクリストは言う。「世界一になって、ゴルフ以外にやらなければいけないことが増えた。それはゴルフ界にとっては良いことだけど・・・。それに、少し成績がでないと色んな人が色んなことを言い、情報過多になってしまう。本当は何も悪くないのに、悪いと思ってしまうんだ」。
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しかし、直近の2試合では11位、35位タイと復調の兆しが見えてきた。その背景には、ロリー・マキロイの存在があるという。「ロリーを見るのが私にとっていいと思う。なぜなら、彼はここ数ヶ月少し調子を落としていたけど、全米プロを勝ったらそのあとにすぐに2勝したから」。そして続ける。「彼のインタビューを見て学びました。彼が何を考え、何を見ているのか。苦しんでいる時にどうやってコースでのプレーを楽しんでいるのか。そして、他の人の意見を無視して、自分自身に集中して楽しむこと、他の選手がどう見ているのかを気にしないということを」。
ヤニと同種の困難を克服して、再び輝きを取り戻したマキロイ。世界ランク1位の苦しみは、同じ人間にしか理解できないものかもしれない。「いつもは、ただラウンドを楽しんで、いろんなところに行くことを楽しんでいたのに、今年は自分にとても厳しくしていた。でも、またこれまでのようにコースに笑顔でいたい。今週は、他の人たちと同じようにここの空気を楽しんでファンに笑顔を見せることが目標です」。その言葉どおり、リラックスした雰囲気の中、今季メジャー最終戦の「全英リコー女子オープン」初日をイーブンパーでさらりと回った。
「今年はたくさんのことを学んでいる。あとでこの時を振り返ったら、きっと最高の時だったと思います」。ヤニの心も、リンクスの広く青い空のように爽やかだ。(英国ホイレイク/今岡涼太)
今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka