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佐伯三貴 18番グリーンで流した涙のワケ

「もう試合にでられないかもしれない――」。

熊本県で開催されている「KKT杯バンテリンレディスオープン」の最終日。2日目にエースを決めた佐伯三貴が逃げ切って優勝を果たし、18番グリーンで歓喜の涙とともに大会を締めくくった。

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優勝した佐伯は優勝後の共同インタビューで、昨年の12月に首のヘルニアの手術を受けていたことを明らかにした。昨年後半からたびたび、首の痛みに悩まされていると口にしてきた佐伯だったが、「たいしたことないと思うから大丈夫」と気丈にも笑顔で答えていた。しかし実情は、「首を前後に動かすにも辛く、昨年の終盤戦は注射や痛み止めを飲んで出場していた」という。

だが、そのことは一切口にせず、「(状況は)深刻だったけど、自分が勝つまでは言いたくなかった。そこに逃げ道を作ってしまうのが嫌だった」と、自分が陥った状況に甘んじることなく試合に出場し、手術を待った。手術後のオフは、ラウンドはもってのほか、スイングもまともにできない状況が続いたが徐々に回復。そして迎えた開幕から7戦目となる今大会だった。

優勝の瞬間の涙のワケをこう語る。「もうゴルフができないかもしれないと思ったので、こんなに早く優勝出来て本当に嬉しかった。支えてくれたトレーナーと家族がいたから、いま、私はここにいられるんです」。

最終日の優勝争いは大混戦となるも、上がり2ホールでバーディを奪い、自らの手で掴んだ優勝。昨今、国内女子ツアーでは佐伯のあとを追いかける選手が続々と出てくる中で、「自分には昨年までの実績もある。後輩たちにも『まだまだ私もいるんだぞ』とアピールできたと思う」と、その大きな存在感を改めて示した。この大きな1勝は、その背中を追う後輩たちの目にしっかりと焼き付いたに違いない。(熊本県菊地郡/糸井順子)

糸井順子(いといじゅんこ) プロフィール

某自動車メーカーに勤務後、GDOに入社。ニュースグループで約7年間、全国を飛びまわったのち、現在は社内で月金OLを謳歌中。趣味は茶道、華道、料理、ヨガ。特技は巻き髪。チャームポイントは片えくぼ。今年のモットーは、『おしとやかに、丁寧に』。

2013年 KKT杯バンテリンレディスオープン



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