ゴルフがつないだ工藤父娘の“絆”
2011/12/09 17:48
千葉県にあるグレートアイランド倶楽部で「LPGA新人戦 加賀電子カップ」が開催され、今年のプロテストに合格した20名の選手が、一生に一度のタイトル奪取に挑んだ。そのタイトルを手にしたのは工藤遥加。プロ野球選手である父・公康氏の長女だ。
この日の朝、父・公康氏は自身の公式ブログで現役引退を発表した。娘・遥加はこのことを「父から直接聞いたわけではないけど、近くにいればなんとなく感じる」と以心伝心。普段から野球の話をすることはないという父娘の関係だが、言葉にしなくても伝わる何かがある。公康氏が200勝を達成した日、“野球がお父さんを幸せにしている”と感じたという遥加にとっては胸中複雑のはずだった。
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しかし、「同じアスリートとして一緒に成長していくために、父が落ち込んでいるときは私が励ます番」と工藤。その理由は「いつも自分がお父さんにそうしてもらっているから」と屈託のない笑顔を見せる。ここ数日の間、家族の間でそういった雰囲気を感じていたからこそ、今大会の奮起につなげ勝利を引き寄せた。ドラマティックな演出とも言わんばかりに、父の勇退に華を添えたのだ。
ゴルフを始めたきっかけは、公康氏の練習について行った時に買ってもらえる“120円のココア”だった。遠征やシーズン中は留守が多く、一緒に過ごす時間がなかった父娘。だから一緒にいられる時間は「とにかくお父さんと一緒にいたかったし、話したかった」と、ゴルフを始めるようになってそれまで以上に会話も増え、きょうだいの中でも長男、長女には厳しかった父も、ゴルフのときばかりは笑顔を向けた。「やさしいお父さんに会える!」。ゴルフが父娘2人の“絆”を強くした。(千葉県長生郡/糸井順子)
糸井順子(いといじゅんこ) プロフィール
某自動車メーカーに勤務後、GDOに入社。ニュースグループで約7年間、全国を飛びまわったのち、現在は社内で月金OLを謳歌中。趣味は茶道、華道、料理、ヨガ。特技は巻き髪。チャームポイントは片えくぼ。今年のモットーは、『おしとやかに、丁寧に』。