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優勝しても「60点」 山下美夢有がこだわり続ける“結果より内容”

◇国内女子◇富士通レディース 最終日(13日)◇東急セブンハンドレッドクラブ(千葉)◇6697yd(パー72)◇晴れ(観衆3730人)

2年連続年間女王の山下美夢有が今季の国内ツアー31戦目、出場19戦目でシーズン初優勝を飾った。過去に例のない7度の2位を経た末の“難産V”とあって、ある意味で“今、一番優勝を欲していたプロ”だけに結果は「最高」と笑顔を見せるのだが、内容に関しては「60点」といつも通りの辛口評価。今季何度も繰り返してきた「ショットはあまり良くなかったので」というフレーズを優勝会見でも口にした。

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最終日のバーディ数は全52選手で最多の8個。そのうち6つは3m以内のチャンスにつけて決めた。はたから見れば、十分満足な結果に思えても、本人は中身が不満だった。

例えば5番。フロントエッジから32yd、奥は4ydしかないピンに対し、右奥6mにつけた。カラーに残ったから良かったものの、奥にこぼせばボギーの確率が高かった。結果はバーディだったが、フォローの風の中、153ydを7番アイアンで放ち、危うい距離感の末に危険を招いた自分に納得がいかない。

「2年前が一番良かったんですよね。スイングアークとか、リズムとか」と山下は言った。

その言葉は、山下のゴルフの唯一、最大の理解者である父・勝臣さんが語る内容とぴったり重なる。勝臣さんは「ピンを狙うショットを半径5m内につけること」を指標に掲げた上で「最初に年間女王になった2022年は完璧やったけど、昨年は悪なった。で、今年はもっと悪なった」。山下のサンドセーブ率は22年の56位(39.4737%)、23年の22位(47.4526%)から、今季は1位(60.3774%)と飛躍的に向上した。「ショットが悪いから、バンカーにぎょうさん入れて“練習”できてうまくなっとるんです」と苦笑いで“皮肉なデータ”を説明する。

それにしても、だ。平均ストロークはツアー史上初の「3年連続70切り」へ、過去最高の69.2195(竹田麗央に次ぐ2位)を記録している。ショットの出来の目安であるパーオン率は1位になった2022年の75.1543%から今季は73.6224%(4位)とわずかに落ちているとはいえ、極めて高い。今大会3日間も全体25位とはいえ74.07%(40/54)。不満なことが不思議なデータがそろっていても、勝臣さんは「そこは私と美夢有にしか分かりませんわ」と言う。

山下は優勝会見の最後、3年連続女王への思いを問われて「今年は竹田麗央さんが7勝して、本当にすばらしい成績を残しています。私とプレースタイルは違うけど、私は私のスタイルで精一杯頑張ります」と答えた。

ドライビングディスタンスは今季、ツアー58位の235.46yd。それはツアー屈指の飛ばし屋・竹田の262.33ydより30yd近く劣る。今季の「アムンディ エビアン選手権」でメジャー覇者となり、この日、プレーオフで戦った古江彩佳の247.07yd(ラウンド数は規定不足の19ラウンド)にも10yd以上及ばない。

勝臣さんは「周りは『ちょっとぐらい悪い時もあるがな』とよく言うんですが、ウチはそれじゃダメなんです」と力説した。メジャー優勝を目標に掲げる以上、世界トップレベルで戦うための“絶対的なショットの精度”は譲れない。もっと言えば、精度の高さは飛距離の優位性をしのぐことを証明するために。

今オフには米ツアー最終予選会(12月5~9日/アラバマ州・マグノリアグローブGC)に挑む。今季国内ツアー残り6戦に向けて「まずはショットとかを調整しながら…」と答える山下と「満足は引退までないんちゃいますか」と笑う勝臣さん。“山下美夢有のゴルフ”を求める日々は終わらない。(千葉市緑区/加藤裕一)

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