2009年 大王製紙エリエールレディスオープン
期間:11/20〜11/22 場所:エリエールGC(香川)
有村智恵、前進する力
石川遼を見ていて凄いなと思うことの一つに、目標設定の巧みさがある。“20歳でマスターズ優勝”という大目標を掲げながらも、それに向けた個別のマイルストーンを設定していく。遠すぎず、近すぎず、その時々の自身のモチベーションを高く保てるような現実的なハードルを作っていく。
どの大会よりも勝ちたいと話していた「ミヤギテレビ杯」、そして賞金女王レース生き残りを掛けた「大王製紙エリエールレディス」を勝利した有村智恵にも、そんな目標設定の上手さを感じる。
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この日の最終日は、2位に4打差をつける通算15アンダーの単独首位で迎えていた。プロなら勝って当たり前というマージンだ。そんな微妙なプレッシャーの掛かる最終日が誕生日でもあった有村は、「22日で22歳」という新聞記事を見てひらめいた。「22アンダーを出せたら楽しいな」。もちろん、54ホールの日本人ツアー最小ストローク記録が原江里菜の持つ21アンダーだということは知っていた。
51位タイに沈んだ「ミズノクラシック」では、周りの選手を見すぎて、自分を過小評価していたことに気が付いた。「私は私の良い所を伸ばして、自分の打ち方でやっていこう」。愛読するイチローの本の中に書かれていた、“人と比べるのではなく、自分のプレースタイルを確立することが大事”という言葉を手帳にメモし、事あるごとに読み返したという。
今季5勝目を挙げ、最終戦での賞金女王獲得も現実的なレベルまで近づいた。地元・熊本では、祖父の家の立替工事も進行中で、来年2月頃には完成予定という。この日、急遽応援に駆けつけた母は言う。「でも、家具は一切買いません。来年、大塚家具さんの試合で勝って、頂くようにします」。こんな所にも、モチベーションの種が潜んでいた。(編集部:今岡涼太)
今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka