上田桃子の“情熱大陸”に思う
2007/10/03 02:28
毎週自宅のHDレコーダーに録画予約して、僕が欠かさずチェックしている番組の1つに、毎日放送制作の「情熱大陸」がある。有名な番組なのでご存知の方も多いと思う。その「情熱大陸」で、今度の日曜日(10月7日)に取り上げられるのが、われらが上田桃子である。
見慣れた顔の多いトーナメント取材の現場に、撮影スタッフが現れたのは約2ヶ月前。「ゴルフの現場は機動性が重要なので、異例中の異例ですが自分でカメラを回すことにしました」と、担当ディレクターの中村裕さんが、ハンディカメラを持って上田を追いかけた。
<< 下に続く >>
「彼女の場合、どのショットがその試合のキーとなるのか、素人の私には分からないので、全ショットを撮ることにしているんです」と、中村さんは言う。試合やオフショットを含め、約60時間の素材を24分3秒という枠に凝縮する。「我々の仕事は、牛一頭を丸ごと焼いて、その中のほんのひと握りのおいしい部分だけを取り出すようなもの」。中村さんは大きな体に一杯の汗を掻きながら、慣れないゴルフ場を駆けずり回った。僕らとは媒体も違うし、やり方も違う。それでも、もの作りに掛ける想いが伝わって刺激を受けた。
「情熱大陸」のトーナメント取材は、先週の日本女子オープンが最後だった。最終日の朝、ホテルのベッドで寝ぼけながら番組を夢想していた僕の頭の中で、突然「♪ターラーララー」という葉加瀬太郎のエンディングテーマが鳴り響いた。北海道の澄んだ青空を背景に、戦い終えた上田が爽やかな笑顔を見せる。これで終わりかと思うと、どうしようもなく寂しくなった。
大会を6位タイで終えた上田は、狙ったビッグタイトルを獲れなかったことに唇を噛んで言った。「この悔しさをバネに、残り8試合で3勝します!」--なんという情熱だろう。そう、番組は終わってもツアーは続いていく。この熱情渦巻く世界で取材を続け、それを伝えていけることに、僕は大きな幸福感を味わった。(編集部:今岡涼太)
今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka