「今の藍ちゃんがお手本!」米ツアー初制覇の上田桃子
2007/11/05 18:03
2位のマリア・ヨースを1打リードして迎えた最終18番。素振りをし、最後のティショットのアドレスに入った上田桃子は、ギャラリーからの物音で仕切り直しを余儀なくされる。しかし、ティを挿し直し、再び同じルーティンでこのショットに挑んだ上田は、きっちりとフェアウェイセンターをキープする。
「人を見ないで、目の前の1打1打を丁寧に」。初日終了後、「ショートパットを教えてください!」と岡本綾子に歩み寄り、教えを受けた。富士通レディスでは80cmのウィニングパットを外した上田だが、今週はどんなに短いパットでも、両足を揃えてフェースをあわせ、そしてスタンスを取るというルーティンを崩さなかった。
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先週は8週間ぶりに試合を休んだ。1週間の休み明け、リラックスした表情の上田は、これまでとは余裕が違った。多くのギャラリーを引き連れたが、ひとつひとつのショット、パットを終えるたびに沸き起こる拍手に、律儀に手を上げて応えた。アルバトロスを決めた7番ホール、そして最終18番グリーンには、帽子を取り、礼をしてから上がった。
「本当は、私のお気に入りのピアスがあってそれにしようかとも思ったのですが、今日はこっちかなって」。大会最終日は、前夜祭で貰った地元志摩市名産の真珠のピアスを選んでつけた。これまでは、若さゆえに足りない事も指摘された周囲への配慮だが、今週はスマートにそれをこなした。
宮里藍よりも早く米ツアーでの優勝を成し遂げたが、それも謙虚に受け止める。「良い時もあれば、悪い時もある。それでも笑顔で居続けられる藍ちゃんは、やっぱり凄いと思います。今の藍ちゃんをお手本にしようと思うし、今でも目標ですね」。
精神的に1段上がった感のある上田。トレードマークでもあった涙は、もう2度と見られないかも知れない。(編集部:今岡涼太)
今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka