世界ナンバーワン不在のショック
2008/11/10 09:31
今年の「ミズノクラシック」の大会ポスターには、ディフェンディングチャンピオンの上田桃子を中心に、宮里藍、カリー・ウェブ、飯島茜、アニカ・ソレンスタム、横峯さくらの6選手のイラストが配され、来るべき大会を待ち受けていた。
翌週に自身のホスト大会を控えるロレーナ・オチョアは致し方ないとしても、大会開催の約1ヶ月前に、突如ソレンスタムの欠場が決まった。彼女の予定は、「ミズノクラシック」の2週前に中国開催のLPGAの試合に出場し、翌火曜日はテレビマッチの為に来日。同じ週に再び中国に戻って欧州女子ツアーに出場した後、今大会を飛ばして翌週のメキシコでの試合へ飛ぶという、日本のファンにとってはちょっぴり寂しいものだった。
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大会側は、選手の送迎の為に近鉄のチャーター列車を用意し、地元の志摩市も積極的にボランティア集めに協力するなど、受け入れ側としては精一杯の努力をした。それでも、賞金総額や大会スケジュール、立地条件など、色々な要素を加味して選手は出場する試合を選ぶ。結果、欧米選手の参加は少なく、韓国、台湾などアジア勢が大会を賑わすこととなった。
今大会で優勝した申智愛は、「食事はおいしいし、選手はフレンドリーでとても快適」と日本ツアーをすっかり気に入った様子で、最終戦の「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」にも出場するという。とはいえ、来年は米ツアーを主戦場とし、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを目指したいと高らかに宣言した。
何故、韓国にも近いし、日本が大好きなのに米ツアーに挑むのかと聞かれた申は、「LPGAは夢のツアー。世界のトップ選手が集まるツアーだから、そこに参加したい」と、注意深く返答した。
今大会の理想は、日米の一流プレーヤーの競演。日本側からの欠場者がほとんど出なかった事実でも明らかだが、日本人選手にとっては価値ある大会も、アメリカを主戦場とする選手にとっては、遥か遠くで開催される一イベントに過ぎない。来年も同じ地、同じスケジュールでの開催が決まっているが、“夢のツアー”とはいかないまでも、この地の名産の真珠のようにキラリと光る何かが無ければ、このままグローバル化の大波に飲み込まれてしまう恐れがある。(編集部:今岡涼太)
今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka