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トルコのゴルフ ツアーへの関心と環境のギャップ

◇欧州男子◇ターキッシュエアラインズオープン 最終日(4日)◇レグナムカーヤゴルフ (トルコ)◇7159yd(パー71)

コース内に設けられたプレスルーム。「ターキッシュエアラインズオープン」の取材受付カウンターには、大会の資料とともに物珍しい小冊子が山積みになっていた。ひとつはトルコ語版、もうひとつは英語版。表紙にはトルコゴルフ連盟(TGF)のエンブレムとともに、「報道陣向け・ゴルフエチケット」と記されていた。

絵本のような作りの全48ページには、ゴルファーの絵や写真が大きく配置され、それぞれに説明書きがある。世界中のゴルフ関係者にしてみれば、内容はちょっと驚くもの。「プレー中は静かに」「試合中に選手やキャディに話しかけてはいけません」「グリーンに上がってはいけません」…と、その道の人ならば“当たり前”と思われるような文言が並ぶ。読み進めていくと、バンカー、ハザード、OB、パター、ホールインワンという具合にゴルフ用語の説明も。スコアカードの書き方も指南され、実際のゴルフ記事の例文まであった。

トルコでのゴルフ発祥は19世紀終盤。1895年にできたイスタンブールGCが同国最初のゴルフ場だったが、英米とは一線を画す文化の影響もあり、その後は他スポーツに比べて十分な発展を遂げてこなかった。潮目が変わったのは1980年代後半。トゥルグト・オザル首相政権の際に、トルコ南部・地中海沿いのアンタルヤ地方ベレクでゴルフ場開発が進められ、一大リゾート地としての開発が本格化した。

日本には約2400のゴルフコースが存在する。約2倍の国土を有するトルコにあるコースは20あまり。そのうちの2つがイスタンブールに。首都アンカラには9ホールのゴルフ場が1つだけ。残りのすべてがこのアンタルヤにある。イスタンブールで飛行機を乗り継ぎ、約1時間。空港を出ると、湿度の低い心地よい風と、林立する松の木が穏やかに出迎えてくれる。

温暖で雨量が少ない地中海性気候はバケーションにはうってつけ。車を走らせると、欧州のあらゆるサッカーチームのユニフォームが並べられた商店がいくつもある。サッカーのほかはバスケットボール、バレーボールが人気スポーツだという。

現在、同国出身のツアー参加プロはひとりしかいない。アリ・オルタンタスは地元ベレクのアカデミーで14歳のときにゴルフを始めた。「僕はまだ欧州の下部ツアーでプレーしている。いつかはトップで戦いたい」と夢を描く。現在の世界ランキングは有効ポイントがない2010位。今週の欧州ツアーには同国出身のアマチュア2人と一緒に推薦出場したが、出場78人のうち、3人が76位から最下位までを埋める結果になった。トルコではまだプロゴルフ人気は発展途上。だからこそ、地元報道陣には「ゴルフの取材ルール」が細かく案内される。

その一方で、世界中のエンジョイゴルファーからアンタルヤに注がれる視線は近年、増すばかり。地中海沿いの約20km圏内に高級リゾートが並ぶ。今大会の会場となったレグナムカーヤゴルフ&スパもそのひとつで、2015年にG20(20カ国地域首脳会合)が開催されたホテルリゾートだ。場内にトルコ語、英語、ロシア語、ドイツ語の案内があることからも、あらゆる地域から旅行者が訪れることが分かる。周辺にはピート・ダイやコリン・モンゴメリーニック・ファルドらが設計したコースもあり、質の高いゴルフライフを送ることができる。

古くからトルコ人には親日家が多いという。明治時代に発生したエルトゥールル号事件が大きいという見方もある。1890年、当時のオスマン帝国の軍艦が座礁。生き残った乗組員を和歌山県沖の地元民が懸命に救助にあたって以降、友好関係が続いている。欧州ツアーを主戦場にして2年目になる谷原秀人に釘をさされた。「ヨーロッパの全部の試合がこうだと思ったら大間違い。ここは本当に良いところ」。多くの選手、関係者が家族を呼んでトーナメントウィークを一緒に過ごせる貴重な試合のひとつなのだ。

発展途上のトルコゴルフ。地元からのプロゴルフへの関心の低さと、環境の素晴らしさのギャップは将来の秘めた可能性を示している。(トルコ・アンタルヤ/桂川洋一)

桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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