「いま僕はココにいます」Vol.199 リハビリ“片手ゴルフ”編
DPワールドツアー(欧州男子ツアー)を主戦場にする川村昌弘が年明けに両手首の手術に踏み切った。昨年9月の「アイルランドオープン」を最後に戦線離脱。長らく日本に滞在して復帰時期を探っている。リハビリに努めるあいだ、2月には久々にプレー。右手だけでクラブを握り18ホールを回ったという。自身のコラムで近況を語った。
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プロゴルファーの川村昌弘です。
いま僕は日本にいます。
前回のコラムでお話しした通り、1月半ばに左手首を、2月半ばに右手首の手術を行いました。実はその間、左手首のギブスが短くなった2月初旬に兵庫県のゴルフ場で久々にラウンドをこなしたんです。
コースに着くなり、練習もせずに1番からティオフ。当時は「左手で500mlのペットボトル以上の重さのものを持たないように」と主治医の先生に言われていたので、クラブを右手だけで握ってレディースティから回りました。
1Wショットは“ほぼ完ぺき”と思えるくらいの内容。両足を揺さぶるように動かして、リズムよくヘッドをボールに当てていくと、170yd、180ydと飛んでいきます。ただ、地面にある球を打つのが、とにかく難しくて。集中して打ってもチョロがたくさん!
とくにバンカーに入ると大変で、左手の“支え”がないとイメージがまったくわきません。グリーン周りから打つバンカーショットは普通、ボールの手前の砂を目がけてヘッドを入れていきますが、片手で砂を打つと力負けするのが本能的に分かるのか、ボールに直接当ててしまって“ホームラン”ばかり…。
それでも18ホールのスコアは、バーディも1つ獲ってなんとか「92」でした。プレーした花屋敷ゴルフ倶楽部よかわコースは、過去に日本の女子ツアー「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」を開催したゴルフ場。最終18番はティショットをフェアウェイ先端の絶好のポジションから残り130ydくらいの谷越えに失敗しましたが、特設ティからの4打目を寄せてボギー。アプローチとパッティングの感覚は残っていたので100は切れました。
それにしても…失礼な言い方になりますが、初心者の方の気持ちが少し理解できた気がします。5歳でゴルフを始めた僕はプロになってから、アマチュアの方と回るときに「ゴルフはイメージ。カンタンですよ」なんて言いがちです。でも、分かった。そうじゃない…。耳で聞いて、頭で理解しても、身体がその通りに動くとは限りません。ホントに勉強になりました。
今後は4月の検査で問題がなければ、本格的に練習を再開します。しばらくは10yd、20ydのチッピングがメインになるでしょう。ただ、僕はこれまでLWなどロフト角の大きなウェッジで手首を使うテクニカルなアプローチを多用してきましたが、しばらくは54度や56度でオーソドックスな打ち方をマスターする時間に充てようと思います。
DPワールドツアーへの復帰は8月末を予定しています。それまでに日本ツアーで出場機会が得られたら…と願っています。