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2019年 マスターズ
期間:04/11〜04/14 場所:オーガスタナショナルGC(ジョージア州)

ゲーリー・プレーヤーが語る初めてのマスターズ

ゴルフにおける真の先駆者であるゲーリー・プレーヤーは、1961年に米国人以外の選手として初めて「マスターズ」を制覇し、この競技の垣根を取り払った。今回はそんな南アフリカのレジェンドに、1957年に初めてオーガスタナショナルを訪れた際の思い出を語ってもらった。

今日に至るまで、私はマグノリアレーンの先端で立ち止まり、1957年に当時の自分が行ったのと全く同じように、静かに感謝の祈りを述べ、周りの全てを吸収しながらクラブハウスまで歩いている。オーガスタナショナルの醸し出す雰囲気は実に素晴らしい。あの地に降り立つや否や、アザレアやイエロージャスミンの香りが鼻を抜け、あの花々が視界に飛び込んでくる。もちろん、フェアウェイ沿いに並ぶ木立は高くなったが、オーガスタナショナルのディティールに対する気配りは驚異的であり、それは天下一品である。私は単に何勝かしている南アフリカの若手だったが、世界最高峰の選手たちに属していると信じていたし、到着するとすぐに自信が湧き出てきた。しかしながら、私が待望のグリーンジャケットを獲得するには数年の月日が必要だった。

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選手として「マスターズ」から招待を受けると、自分が世界最高のゴルファーたちと競い合うことになると知らされるのである。私が1961年に優勝するまで、米国人以外の選手は勝ったことがなかった。どんなゴルフトーナメントであれ、優勝するのはとてつもないチャレンジだ。何人かを打ち破れば良いテニスとはわけが違う。ゴルフの場合、相手はしばしば百人を超え、全員が熟練であり、勝利という同じ目標を持っている。なおかつ、自分がリーダーボードのどこに位置しているかにかかわらず、最初のティショットから最後のパットに至るまで、常に緊張が付きまとうのである。選手はアドレナリンを然るべき方向へ導かなければならない。

最初の「マスターズ」での24位タイという結果は、私に自信を与えた。自分が思ったほど良いプレーができなかったにもかかわらず、という意味合いで自信になったのだ。わずかばかりのバーディとあまりに多いボギーというスコアは、成功のレシピではない。私は自分に初めての「マスターズ」でプレーしているということを言い聞かさなければならなかった。しかしながら、課題は次の年に確実に招待状を受け取ることだった。

自信過剰ということではなく、特に初めてグリーンジャケットを獲得した後、私には常に自分が勝つという確信があった。そして、あの1番でのスタートへ向け、ここはオーガスタナショナルであるということを念頭に、辛抱するための精神的な準備を整えるのである。私の身体は万全だった。私は正しい姿勢で臨んでいた。私はトップ10入りを目指して大会に臨んだことなど一度もなかった。勝利が目標だったのだ。日曜に優勝が狙える位置につける。これは3回にわたり上手く行った。

1961年に訪れた私の初勝利は、大番狂わせだった。私はファンが彼らの米国人チャンピオンであるアーノルド・パーマーに大声援を送っていたのを思い出す。私は今でもパトロンたちが「アーニー、あのチビの南アフリカ人をやっつけろ!」と叫んでいたのを覚えている。あれは私のやる気に火を着けた。あれで活気づいたし、集中力をより高めることができた。私はアンダードッグとなることを成功につなげたのだ。

最後のパットを入れたとき、それが奥のバンカーからの寄せワンであったにもかかわらず、私は落胆した。 というのも、最終組でプレーしていたアーノルドは1打リードしており、私が勝つには確実にバーディが必要だと思っていたからだ。しかし、その結果は「マスターズ」を締めくくるのが如何に難しいかを示した。アーノルドは18番で同じバンカーから手痛いミスを犯した。バンカーショットはグリーンをオーバーし、返しのチップショットは再びホールを通り過ぎたのだ。それでも彼にはプレーオフに持ち込むチャンスが残されていたが、彼は2パットでダブルボギーとした。多くの人は彼があのホールで「マスターズ」に敗れたと言ったが、私は常に自分が勝ち取ったものだと感じてきた。それに、私は13番をダブルボギー、そして15番をボギーとしていたが、それは誰も覚えていない。これは全てのストロークが重要であることを証明している。

自分の勝利はゴルフが本当に世界的発展を遂げる始まりだったと私は感じている。歴史的に見て、当時史上最高の選手たちのほとんどは米国か英国出身だったのだが、1961年に南アフリカ人がゴルフにおける最大の舞台のひとつで、最大のスター選手のひとりを破ったのである。もしかしたら私の優勝を喜んでくれた人もいたかもしれないが、私の妻を除くほぼ全員がアーノルドの勝利のために応援していた。

所有している3着のグリーンジャケットは栄誉であり、私の全てのハードワークと犠牲の証しである。キャリアを通して身体を最高の状態に保ったことで、私は42歳で優勝することができた。今でさえ、あの変わらないマグノリアレーンを歩き始めると、私は同じ感慨に浸るのである。感謝の念。幸福。郷愁。そして素晴らしき思い出。

これからも常に「マスターズ」の勝利を決めるのは選手の意思である。大会に出場する選手は誰もが勝てる能力を持っている。今では、ボールや用具の進化に対抗するためコースが長くなったので、その点では、飛距離のある選手に利があると言えるかもしれない。しかし、それでも、王者となるのは、最も重要な局面で決定的なショットやパットを決める集中力を持った選手なのである。

「マスターズ」はもとより、どのゴルフトーナメントであれ、優勝予想を一人に絞るのはほぼ不可能だ。あまりに多くの要素がからんでくる。世界トップの選手の多くがここにピークを持ってくる。胸躍る展開になるだろう。しかし、私はここ数年と同じ優勝予想にこだわるつもりだ。ロリー・マキロイが優勝し、ほんの一握りしかいない生涯グランドスラムを達成した我々のクラブの仲間入りを果たすだろう。

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