2016年 全米プロゴルフ選手権

全米プロゴルフ選手権の知っておくべきアラカルト

2016/07/26 15:46
2015年大会では惜しい試合を続けてきたデイが、ついに涙のメジャー初制覇を果たした

ヘンリック・ステンソンが記録破りの優勝を遂げた「全英オープン」を経て、今週は今季メジャー最終戦「全米プロゴルフ選手権」にゴルフ界の耳目は集まることになる。

<2015年大会を振り返る>

昨年は、ウィスリングストレイツで出色のパフォーマンスを披露したジェイソン・デイが、幾多のニアミスを経て遂にメジャー初制覇を果たした。最終日を「67」でラウンドしたデイは、メジャー史上初の通算20アンダーというスコアを記録し、歴史にその名を刻んだ。ジョーダン・スピースブランデン・グレース、そしてジャスティン・ローズの追撃をかわし、3打差でつかんだ勝利だった。デイは昨年、「全米オープン」と「全英オープン」で、ともに54ホール終了時点で首位に立ちながらも優勝を逃していた。その2戦を含め、直近のメジャー11大会で6度のトップ10入りを果たした末、ついにウィスコンシンの地で最後の一線を越えてみせたのだった。

<一口サイズの大会史>

第1回「全米プロゴルフ選手権」は100年前に開催され、この時はニューヨーク州ブロンクスビルのシワノイCCでジム・バーンズが優勝を遂げた。1916年に大会を制したバーンズには、優勝賞金500ドルと共に、百貨店のオーナーだった富豪のロドマン・ワナメーカーより寄付されたダイヤモンド入りの金メダルが授与された。現在の優勝トロフィーにはこのワナメーカーの名が冠されている。なお、2015年大会を制したデイは、バーンズの時代とは一変、勝利で180万ドルを稼ぎ出した。「全米プロゴルフ選手権」は1957年までマッチプレー方式で行われ、その翌年に現行のストロークプレー方式に変更された。

<2016年大会のフィールド>

今年のバルタスロールGCでは56人のヨーロピアンツアーメンバーがティアップし、そのうちの9人は大会初出場となる。クリストファー・ブロバーグマシュー・フィッツパトリックスコット・ヘンドアンドリュー・ジョンストン、リカルド・カールバーグ、イ・スミントーマス・ピータースブランドン・ストーン、そしてワン・ジョンフンがその9人である。一番の注目選手は、「全英オープン」で圧巻のパフォーマンスを披露したステンソンということになるだろう。ロイヤルトゥルーンでのステンソンとの一騎打ちに敗れたフィル・ミケルソンは、前回バルタスロールで開催された2005年の「全米プロゴルフ選手権」を制している。ワナメーカートロフィーを2度獲得しているロリー・マキロイも優勝候補の一人。バルハラGCでの2014年大会でミケルソンに1打差をつけて制したマキロイは、その2年前にはキアワアイランドゴルフリゾートで2位に8打差をつける圧倒的な勝利を飾っている。マルティン・カイマーもかつての「全米プロゴルフ選手権」王者の一人であり、彼はウィスリングストレイツで開催された2010年大会をバッバ・ワトソンとのプレーオフの末に制し、メジャー初優勝を遂げた。

<コース>

1895年にルイス・ケラーにより設立されたバルタスロールGCは、1918年にA.W.ティリンガーストにより設計された2つのコースを誇る名門ゴルフクラブである。ニューヨークから32キロほどのニュージャージー州スプリングフィールドにある同コースは、1985年に異なる2つのコースで男女の「全米オープン」を開催するという初の快挙を達成した。前回バルタスロールで「全米プロゴルフ選手権」が開催された2005年には、フィル・ミケルソントーマス・ビヨーンとスティーブ・エルキントンを1打差で退けて大会を制覇している。同年、同クラブは米国の歴史登録財に登録され、2014年にはティリンガーストのゴルフ設計家としての功績が重要視され、アメリカ合衆国国定歴史建造物に指定された。

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