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2020年 マスターズ
期間:11/12〜11/15 場所:オーガスタナショナルGC(ジョージア州)

「僕は歴史の一部になった」 1991年マスターズ名場面

イアン・ウーズナムがウェールズ人初の「マスターズ」王者としてグリーンジャケットを獲得してから29年が経った。

今、世界中がオーガスタナショナルにおける過去の名勝負を振り返るなか、我々は用具の変化、プレッシャー、パトロンの駆け引き、米国人の気高さ、そして究極的には成功に関する驚くべきストーリーを振り返ってみることにした。

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1991年の春はウーズナムが輝く番だった。

彼は欧州代表を率いて2006年「ライダーカップ」で勝利し、ヨーロピアンツアーでは29勝を挙げたほか、3度年間王者になっており、50週にわたって世界ナンバーワンに君臨したが、ウーズナムにとってオーガスタにおけるメジャー制覇の栄冠は、そのキャリアの中でもひときわ輝いている。

「あれは僕のキャリアで最高の達成だったし、長年夢見ていたことだった。マスターズで優勝することで、僕は誰もが知っている選手になったんだ」

1991年「マスターズ」の2週間前にニューオリンズで開催された米PGAツアーの「USF&Gクラシック」を制したことで、「マスターズ」開催週の月曜に世界ナンバーワンに上り詰めたウーズナム。その肩書きゆえにメジャータイトルの重みに潰されてもおかしくなかった。しかし、身長164cmの小柄なかつてのアマチュアボクサーは、常に果敢な姿勢を貫いていた。プレッシャーに潰されるどころか、主役を自ら買って出る気持ちになっていたのである。

「あのマスターズの週の月曜は、これ以上ないというほど自身に満ちていた。ニューオリンズで勝って世界ナンバーワンとなったことは、僕があの週に優勝するための後押しとなった。当時、プレッシャーを感じた記憶は少しもないし、とにかく自信満々だった。万能な感じで、何でもできる気がした」

しかし、勝利は簡単なものではなかった。世界で最も無慈悲なコースの一つであるオーガスタナショナルの広く知られた複雑さだけではなく、このゲーム最高の名手の一人であり「マスターズ」2勝を誇るトム・ワトソン、そしてパルチザン的に偏った観客とも戦わなければならなかったのである。

その週を迎えるにあたり、高まっていた自信は難しいグリーンへの適応と格闘した初日を「72」としたことで、瞬く間に抑制されることとなった。

しかし、ティからグリーンにかけてのプレーがエンジン全開だったこともあり、劇的な決断を下した。

「第1ラウンドを終え、僕はパターを替えたんだ。ピンからタッドモアに替えたのだけど、1m前後はそこまで良くパッティングできていないと感じていながらも、あの決断はオーガスタのグリーンに対する自信に重要な影響を与えた。効果は抜群だった」

その後の2日間で「66」と「67」をマークし、一躍優勝戦線へ浮上した。人生最大のバトルへ準備万端整えて臨んだが、その時の観衆の反応は予期しないものだった。

「最後の2日間は、僕のゴルフにおけるヒーローの一人であるトムとプレーしたんだ。同組のプレーは僕を後押しすると思った。というのも、彼のプレースタイルは僕と似ていたから。彼は良いショットを打った相手に対し、グッドショットと言える類いの選手なんだ」

「13番から14番にかけて、厄介なことが起こって、誰かが『ここはリンクスじゃない、アーメンコーナーだぞ』って叫んだんだ」

「でも彼らは、そのコメントが僕をもっとやる気にさせたことを気付かなかったのだけど、あの後、トムが自分もジャック・ニクラスとプレーしたときは似たようなことがあったと教えてくれて、『気にすることはないぞ』と言ってくれたんだ。本当に、彼は親切だったね」

その厄介なことは、ウーズナムがティショットをフックさせてレイズクリークに打ち込んだパー5の13番で起こった出来事であり、ギャラリーがそのミスを茶化し始めたのである。

「あれは酷かった。ティで20分待たされ、ティショットをクリークに打ち込み、観衆が騒ぎ始めたことで、僕はとてもガッカリした」

「あの時点では、ボールはフェアウェイに跳ね返ってきたと思っていた。でもご存知の通り、ボールはクリークへ消え、観衆は僕と敵対しているように感じられた。大男対小男みたいな感じだね。またボクシングのリングへ戻った感じがしたよ」

18番のティに立ったとき、ウーズナムは通算12アンダーでワトソンを1打リードしていた。アドレナリンが駆け巡るなか、ドライバーで大飛球を放ち、ボールは左サイドにあるバンカーのはるか先まで飛んでいった。

「トムが右の木々の中に打ち込んでいたので、あのとき、僕にとってベストの選択は、バンカーを越えて安全な場所へ運ぶことだったのだけど、正にそれをやったんだ」

「結果的にトムはあそこで6打たたき、僕は2打目でグリーンをショートし、3打目でチップショットを打とうとした。だけども少しナーバスになっていたので、パターで打つことに決めたんだ。それを2.4mにつけ、幸運にも右から左へ切れるラインのパーパットを沈めることができた。右利きなので、あのラインはしっくりきた」

「僕のキャディも、カップの右外で合意し、後は知っての通り。パットは入った。あれは若いゴルファー皆の夢だった。ニック・ファルドからグリーンジャケットを受け取ったとき、メジャー初制覇の素晴らしい感慨に浸った。僕は歴史の一部になったんだ」

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