大陸ヨーロッパ選抜が13年越しの悲願を達成
サン・ノム・ラ・ブレテシュを舞台に行われた「セベトロフィ」は、最終日のシングルを終え、大陸ヨーロッパ選抜が2000年大会以来の優勝を果たした。
ここ6大会連続で英国・アイルランド選抜に敗れているホセ・マリア・オラサバル率いる大陸ヨーロッパ選抜は、今大会、初日と2日目はリードを奪ったものの、3日目のサム・トーランス率いる英国・アイルランド選抜の猛チャージにより9?9のオールスクエアとなってこの日を迎えていた。
昨年メダイナで行われた「ライダーカップ」と同様に、その際に優勝を決めたフランチェスコ・モリナリがアンカーを務め、クリス・ウッドを3&2で破って大陸ヨーロッパ選抜の15?13での優勝を確定させた。
今大会のキャプテンとして大陸ヨーロッパ選抜を率いて2度目の優勝を果たしたオラサバルは「とても感動的だ。タフな一日だったからね」と語った。「全ては最後の試合に託された。今日、選手たちは本当によくやってくれたし、今回セベトロフィを掲げることができて本当にハッピーだ」。
「今日は少なくともラスト3戦いかん、という流れになった。我々は実に良いスタートが切れたんだが、徐々に英国・アイルランド選抜も盛り返してきて、ボード上に(英国・アイルランド選抜を意味する)”赤”を見るようになった。しかし選手達は集中を切らさず、よくプレーしてくれた。特にラスト数戦はそうだったね。本当に素晴らしいゴルフだった」。
「思うに最初の2戦が決定的だったね。あそこで1.5ポイントを稼ぐ事ができたのは、本当に大きかった」。
悲嘆にくれるサム・トーランスは、この日、より優れたチームに敗れたことを認めた。
「彼らは本当に強かった。我々はベストを尽くしたけれど、わずかに及ばなかった」。
サイモン・カーンの背中の負傷によって、彼の出場する予定だったマッチは引き分けとなり、大陸ヨーロッパ側ではトーマス・ビヨーンが出場しない中、両チームとも優勝には5ポイントが必要となった。
英国・アイルランド選抜は、調子を取り戻したトミー・フリートウッドが大番狂わせを演じ、3&2の勝利で今週初のポイントを獲得してジュースト・ルイテンの無敗記録を止め、チームにリードをもたらした。
最初に対戦したジェイミー・ドナルドソンとゴンサロ・フェルナンデスカスタノは、両者とも振るわず引き分けとなり、続くニコラス・コルサーツは最終ホールで5フィートのパットを沈めポール・ケーシーとの死闘を制した。
グレゴリー・ボーディは5ホール連続でポイントを奪った大会史上初の選手となり地元ファンを湧かせ、冴え渡ったアイアンショットもあって、スコット・ジェイミソンを4&3で退けた。
マーク・ウォーレンが同じく4&3でトービヨン・オルセンに勝ったため、勝負は再び12?12のスクエアとなったが、ここから大陸ヨーロッパ選抜は4つのうち3つのマッチで勝利を収めた。
ミゲル・アンヘル・ヒメネスは最初の6ホールで4つのバーディを奪い、デビッド・リンを6&4で破った。流感の症状があったリンは2度、池に打ち込んでしまった。
マッテオ・マナッセロはショートゲームに熟練の腕前を見せ、スティーブン・ギャラハーに3&2で勝利すると、大陸ヨーロッパ選抜は14ポイントまで伸ばし、その時点でミッコ・イロネンはポール・ローリーの後塵を拝してはいたものの、終盤に差し掛かったモリナリが2アップでリードしていたため、勝利に必要な最後の1ポイントをチームにもたらすように見えた。
ローリーはそのまま2&1で勝利したため、昨年の「ライダーカップ」でアンカーを務めタイガー・ウッズと引き分けてヨーロッパ選抜を勝利に導いたモリナリは、その再現に向けて0.5ポイントが必要な状況となった。
そしてモリナリはあの時を上回る成績を収めた。彼は16番で12フィートのバーディパットを沈め、必死に応戦するクリス・ウッドに勝利したのである。
「私たちにとっても、チェマ(オラサバルのニックネーム)にとっても、そしてこれまで負けて来た過去を考えると、本当に素晴らしい事です」とモリナリは語った。「ここ2大会もアンカーを務めましたが、やっぱり負けて終わるのは気分が良くないものです。我々は本当に必死にプレーしました。昨日は相手が素晴らしいプレーをしたので、全ては今日の試合に託されました」。
「昨日、オラサバルがリストを読み上げている時はちょっと変な感じでしたね。アンカーになる事は薄々分かっていましたが、それでも自分の名前が呼ばれるのを待ち続け、結局10番目まで呼ばれませんでしたからね。しかし我々、全員にとって上手くいきましたね」。
「できる限りリーダーボードを見ないようにしましたが、当然、皆、私のマッチに寄り集まって見ることになりました。なるべく計算をせず、0.5ポイントが必要である事だけを意識し、パットを強く打ちすぎないようにしました。最後は2つのバーディで締めくくれて良かったです」。
「9人のチームメイトとキャプテンがいて、彼らを失望させたくないという状況です。過去に2度も失敗している中でまたしてもシングルのアンカーでした。もうやりたくないですね!」
オラサバルの影響力についてモリナリは「彼は驚くべき存在です。ゴルフ界の中で最も影響力のある一人で、それはヨーロッパの枠にとどまらず世界中においてです。彼が喋るたびに、周りが耳を傾ける。あんなに周囲を元気づけ、鼓舞できる人はいませんよ」。