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石川遼

「夢の中でプレーしているようだった」遼、世界最小ストロークを更新する「58」で逆転V!

ゴールデンウィーク真っ只中の5月2日、日曜日。この日名古屋ゴルフ倶楽部・和合コースに足を運んだ15,904人のギャラリーは、歴史的な1日を目撃することとなる。石川遼、18歳。何度も偉業を成し遂げてきた若者が、この日また一つ大きな金字塔を打ち立てた。

今年で51回目を迎えた「中日クラウンズ」最終日、首位と6打差の18位タイからスタートした石川は、前日の父・勝美氏からの喝で気持ちを入れ替えていた。「そんな風にパットをショートさせてばかりいたら、絶対に上達しないし、お前のファンは減っていくぞ」。シーズン当初から意識していた、ファーストパットを狙っていき、オーバーしても返しを入れる強気のパッティング。忘れていた強い思いを持って1番をティオフした。

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1番は3mを沈めてバーディ。続く2番パー5でも3打目を1mにつけてバーディを奪うまでは想定内。「最初の4ホールを2アンダーで行ければいい」と話していた石川は、続く3番をパーとすると、4番パー3でティショットを7Iでピン右1mにつけてバーディ奪取。「自分の目標より1打少なくて、流れを掴めました」。

その時点で首位との差は、3打に詰まる。5番で2mを沈めてバーディを奪い力強いガッツポーズ。続く6番は、この日数少ないミスショットでティショットは右のラフ、第2打もグリーン左奥のラフへとこぼれる。しかし、そこから15ヤードをSWで直接決めるチップインバーディ。「今日はついてるんじゃないかと思った。ターニングポイントでした」と石川は振り返った。

8番からは1m、2m、1m、20cmとショットをピンに絡めて4連続バーディ。8番以外の3ホールは、すべて60ヤード以内をSWで放つ会心の攻めだった。ここまでに9つスコアを伸ばしていた石川だが、その勢いは止まらない。

「今日1日、特別なショットは無いし、特別なホールは存在しない。ただ単にそれだけ言い聞かせてプレーしていました」という石川。「ゾーンに入る状態をあまり知っている人はいないと思うけど、バーディを獲っていく度に落ち着いていきました」。

14番はカラーから10mをパターで直接沈め、15番パー5では2打目で残り45ヤードまで運ぶと、またもSWでピンそば1mにぴたり。そして、和合の肝ともいうべき16番パー4。この日も果敢にグリーンを狙った石川の3Wでのティショットは、狙い通りグリーン手前のバンカーに落ちて、そこから1mに寄せて今週初めてバーディを奪う。ティショットをフェアウェイに刻んでいく多くの選手を向こうに回し、「あの攻めが、今日のピンポジだと一番バーディを獲れると思う」と言い切った。

上がってみれば、12バーディノーボギーの「58」。このストロークは世界6大ツアー(米、欧、豪、亜、南ア、日)での世界最小ストロークを更新する快挙。その他にも、和合のコースレコード(61)を5年ぶりに塗り替え、さらに6打差の逆転優勝、最年少優勝、9Hの最小スコア(28)、最多バーディ数(12)はすべて大会新記録。最終組が上がる1時間以上前にラウンドを終えた石川は、「夢の中でプレーしているような18ホールでした。アマチュアで優勝したマンシングと同じように、自分のプレーを楽しめた。3年前の初優勝以来の気分が味わえました」と、嬉しそうに回想した。

2010年 中日クラウンズ



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