【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の全米OPレポート〈6〉】
2012年 全米オープン
期間:06/14〜06/17 場所:オリンピッククラブ(米国カリフォルニア州)
W.シンプソンが逆転でメジャー初制覇!T.ウッズは21位
◇米国男子◇全米オープン 最終日◇オリンピッククラブ(カリフォルニア州)◇7170ヤード(パー70)
“世界一決定戦”の大舞台で新たなメジャーチャンピオンが誕生した。3日目を終えて首位とは4打差、3オーバーの8位タイから出たウェブ・シンプソンが、4バーディ、2ボギーの「68」をマークし、通算1オーバーとして逆転優勝。昨年度の米ツアー賞金ランキング2位に輝いた26歳が、初のメジャータイトルを獲得した。
<< 下に続く >>
最終組でラウンドしたグレーム・マクドウェル(北アイルランド)が、マイケル・トンプソンと並び1打差の2位タイ。マクドウェルとともに首位タイでスタートしたジム・フューリックはトップで最終ラウンドを引っ張ったが、ノーバーディで「74」。通算3オーバーの4位タイに終わった。
タイガー・ウッズは首位とは5打差、通算4オーバーの14位タイから出たが、開始6ホールで6つスコアを落とし優勝争いからは脱落して「73」で通算7オーバーの21位タイ。日本勢でただひとり決勝ラウンドを戦った藤田寛之はノーバーディ、2ボギー、1ダブルボギーの「74」で通算13オーバー、51位タイでフィニッシュした。
<メジャー初タイトルのシンプソン「言葉にならない」>
時とともに濃さを増す霧が視界を狭くさせていくように、タイトル争いも終盤に近づくにつれて、まったく予測がつかない混沌の展開となった。最終組を回るフューリックとマクドウェルがゆっくりと下降線をたどる一方、最終組の3組前から4打差を追ってスタートしたシンプソンが、最も難度が高い6番で1.5mを沈めてのバーディ。これが猛追の始まりだった。
続く7番、さらに8番(パー3)でも5mを捻じ込む3連続バーディで一気に優勝戦線に浮上すると、10番では2打目をピン手前80センチに絡めるスーパーショット。通算1オーバー、首位のフューリックに1打差まで肉薄する。その後、13番でボギーを叩いたフューリックをついに捕らえ、そのまま迎えた最終18番。左ラフからの2打目をグリーン右のラフに打ち込むピンチを迎えるが、約10mのアプローチをピン奥1mにピタリと寄せてパーセーブ。通算1オーバーの首位タイでホールアウトし、ダウド夫人とともに後続の結果を待った。
「2人ともメジャーで勝っているし、上がってくると思っていた」。不安と期待が入り混じる目で見つめるモニターの中ではしかし、フューリックがチャンスホールの17番(パー5)でボギーを叩き、ついに単独首位に浮上する。フューリック、マクドウェルともに1打差で迎えた18番も、フューリックが3打目のバンカーショットでグリーンをオーバーさせ、さらにマクドウェルも7mのバーディパットを外して決着。「信じられない。言葉にならないよ」。メジャー初タイトルを手にするとともに、母国に3年ぶりとなるナショナルタイトル奪還をもたらした。