2012年 ザ・メモリアルトーナメント
期間:05/31〜06/03 場所:ミュアフィールドビレッジGC(オハイオ州)
スイングとマネジメント、石川の見つけた答え
石川遼が今季ここまでのPGAツアーで稼いだ賞金は596,231ドル(WGCアクセンチュアを含む)。賞金ランキング125位以内に入って来季のシード権獲得を目指しているが、昨年までの実績でいえば、残りシーズンでの15万ドル前後の加算がひとつの目安となっている。
今大会の賞金額は単独9位で179,800ドル、単独10位で167,400ドル。トップ10に入れば、シード獲得はかなり濃厚となってくる。しかし、今の石川にそんなお金の計算は関係ないようだ。
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通算2アンダーで決勝ラウンドに進んだ3日目。序盤は3日連続で2番でボギーをたたくなど波に乗れない。5番(パー5)、10番でもボギーとし、通算1オーバーへと後退する。続く11番(パー5)では、ファアウェイからアイアンでレイアップした2打目をフェアウェイ右サイドのクリークに入れ「かなり落ち込んだ」というが、ここが最下点だった。
ドロップした後の4打目、52度のウェッジで打った距離は100ヤード。ピンの少し先にある傾斜に落とすと、ボールはトロトロと10ヤードほどピンに向かって戻って1.5mにピタリ。このパーパットが反撃ののろしとなる。
12番(パー3)は6Iでピン右4mにつけてバーディを奪うと、13番6m、14番3mと面白いようにバーディパットがカップに消える。16番(パー3)はグリーンが右から左奥へと細長く、左手前には池が控える。ピンは左奥に切られ、ティグラウンドは前へ。「誘っている」危険と隣り合わせのホールだ。
石川がキャディのアダムにピンまでの距離を尋ねたが、アダムはフロントエッジまでの距離を返してくる。「それは知っているから、ピンまでの距離を教えてよ」。石川の問いかけにもアダムはかたくなだった。「このホールは、どのピン位置でも右手前に打つと決めただろう。そのゲームプランでいくべきだ」。その言葉を受け入れ右手前につけた石川は、「上って下るフックライン」という8mのバーディパットを沈め、ガッツポーズ。最終18番もバンカーから寄せワンでパーセーブした石川は、通算3アンダーの5位タイで3日目を終えた。
「スタート前にアンダーが出るとは予想していなかったし、ボギーが2つ先行した時点でそうは思えなかった。ただ目の前の1ホールにキャディと二人で集中できた」ことが、後半の巻き返しにつながったと石川は言う。イン9ホールも決して得意ではないが、正しいマネジメントに運も含めたいくつかのパットが決まって、4バーディを結果として得た。
これは、新しいゴルフの境地といえるのだろうか?「みんな、こうやってプレーしているんだなって思いましたね。自分はスイングのことを考えているけど、このフィールドの人たちだけじゃなく、一つ下のツアーの人たちも。ということは、ゴルフもスイングも僕よりも完成されているってことで、それは、僕はまだちょっと違うと思う。僕はスイングにもうちょっと集中したいです。最終的にはこういうゴルフを極められればと思うけど」。
スイングとマネジメント。今週はマネジメントを優先させて好結果を得ているが、スイングで成長すべき余地もまだまだある、と石川の理想は高い。それでも、残り18ホールはここ3日間のゲームプランを貫き通す。「今日は後半巻き返せたし、まだあと1日分、体力・精神力が残っている。それを使う価値のある位置でプレーできる」。石川は、良い意味で力の抜けた雰囲気を醸し出している。(オハイオ州ダブリン/今岡涼太)