2019/09/26進藤大典ヤーデージブック

フェアウェイでも左サイドNG 週末の1オンチャレンジに注目

シルバラードリゾート&スパ(ノース)17番パー4(375yd) 2019-20年シーズンがいよいよスタートしました。日本で初めてのPGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」や「東京オリンピック」など楽しみな大会が目白押しの一年になりそうです。今週は第3戦の「セーフウェイオープン」。松山英樹選手、小平智選手がそろって始動します。 ピックアップしたいホールは終盤の17番。距離は375ydしかない、ツアーとしては短いパー4になりますが、緩やかな左ドッグレッグで、左サイドは高い林が壁を作っています。また、左のバンカーを超えるには310yd近く必要で、ここに入れてしまうと木々が邪魔でグリーンを狙えません...
2019/10/03進藤大典ヤーデージブック

ラスベガスのイーグルチャンス 砂漠地帯で飛距離を読め

TPCサマリン 16番パー5(560yd) PGAツアーの新シーズン4戦目は「シュライナーズホスピタルforチルドレンオープン」。カリフォルニア州のラスベガスでバーディ合戦が繰り広げられます。2018年大会こそ優勝スコア(プレーオフ)は通算9アンダーでしたが、タイトル奪取には例年20アンダー以上が求められるコースです。 パー5での取りこぼしは避けたいところ。とくに終盤16番は風がフォローだと第2打でミドルアイアンを持てるため、イーグルのチャンスがあるホール。松山英樹選手は2014年大会で2日目から3日連続でイーグルをぶちかまし、4ラウンドで7アンダーを1ホールだけで記録しました。 とはいえ、...
2020/02/20進藤大典ヤーデージブック

キャディ泣かせのメキシコシティ すべてが試される17番

チャプルテペクGC 17番パー3(172yd) WGCが世界のゴルフコースベスト100に選ばれる当地に舞台を移して4年目。選手はもちろん、サポートするキャディたちも万全のコンディションで乗り込んできたはずです。メキシコシティの標高は約2250m。富士山の中腹並みの高地です。しかも、アップダウンの激しいコースを歩き続けるわけですから、息が切れるどころか、体調を崩してしまう選手や関係者が毎年少なくありません。 何より大変なのは、距離計算です。気圧が低く、空気抵抗が少なくなる分、普段よりも飛ぶことは知られていますが、増加の割合に15~18%ほどと幅があるのが注意点。グリーンが硬く、フェアウェイもよく...
2020/03/12進藤大典ヤーデージブック

最高のゴルフ場に最高の選手たち “第5のメジャー”はダテじゃない

TPCソーグラス 18番パー4(462yd) いよいよ「ザ・プレーヤーズ選手権」が始まります。舞台はPGAツアーの総本山ともいうべきTPCソーグラス(フロリダ州)。今年1月に亡くなった“鬼才”ピート・ダイ氏の代表作とされるコースですね。浮島グリーンが印象的な17番を筆頭に池が絡むホールが多く、数々のドラマを生んできました。 高精度のティショットが要求されるのはもちろんのこと、軽く13フィートは出る超高速グリーン。昨季から13年ぶりに3月開催に戻ったことで、5月開催のとき以上に風が厄介になりました。夏芝のバミューダに冬芝のライグラスがオーバーシード(冬場には枯れてしまう夏芝に、冬芝の種子を蒔き、...
2020/03/05進藤大典ヤーデージブック

“キングの庭”での戦いは「マスターズまであと1カ月」のサイン

ベイヒルクラブ&ロッジ 6番パー5(555yd) ゴルフ界のレジェンド、“キング”ことアーノルド・パーマーさんが亡くなられたのは、2016年9月25日のことでした。PGAツアーのシーズン最終戦「ツアー選手権」を終えた日の夜、ツアー関係者たちは訃報に接したのです。誰からも愛されたパーマーさんらしく、シーズンが終わるのを待っていてくれたような、そんな感覚に陥ったことを覚えています。 そんなパーマーさんのおひざ元、ベイヒルクラブ&ロッジ(フロリダ州)での「アーノルド・パーマー招待」。4月のメジャー「マスターズ」まであと1カ月ということもあり、選手たちに「このあたりで調子を上げていかないと間に合わない...
2019/08/15進藤大典ヤーデージブック

名門メダイナの池越えパー3 ウッズがわざと奥のバンカーに入れた過去も

メダイナCC・コースNO.3 17番パー3(193yd) 「BMW選手権」はイリノイ州を中心に、米国中西部の名門クラブを巡るサーキットトーナメント。ことしから1試合減ったプレーオフシリーズの2試合目(全3戦)になりました。舞台はシカゴ・オヘア国際空港にもほど近いメダイナCC。過去に「全米プロ」や「ライダーカップ」なども行われてきた有名コースです。 数ある難ホールのなかでも、17番(パー3)は優勝争いの終盤にドラマを演出する注目ホールです。ティグラウンドからは風の影響を受けやすい打ち下ろしで、グリーン手前がすべて池という難度の高いロケーション。プレーヤーの距離感を大いに狂わせ、長い滞空時間が緊張...
2019/08/22進藤大典ヤーデージブック

ラストゲームのラストホール 16億円のかかるパー5を見逃すな

イーストレイクGC 18番パー5(590yd) プレーオフシリーズ最終戦「ツアー選手権」で、PGAツアーはシーズンを締めくくります。会場はアトランタのダウンタウンから東に位置するイーストレイクGC。ここをホームコースとしていたのは、「マスターズ」の創始者である伝説的ゴルファーのボビー・ジョーンズです。玄関からクラブハウスに続く道は、オーガスタナショナルGCのマグノリアレーンによく似ています。 年間王者が決まる一年の最後ですから、やはりフィニッシングホールに注目したいと思います。何といっても昨年、タイガー・ウッズが5年ぶりの勝利を挙げたシーンは記憶に新しいところ。ギャラリーがスタンディングオベー...
2020/01/30進藤大典ヤーデージブック

“ヒデキの庭”の17番 勇気と技術が問われる左奥ピン

TPCスコッツデール 17番パー4 (332yd) 突然ですが、2月2日(日)にはNFLの祭典「スーパーボウル」が開催されます。PGAツアー通の方なら、これだけでピンとくるかもしれません。米国最大のスポーツイベントと同週の月曜日から、ゴルフファンにとってのお祭りはすでに始まっています。ツアー随一の集客を誇る「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」。アリゾナ州の砂漠地帯にあるTPCスコッツデールには、一週間で60万人を超えるギャラリーが押し寄せます。 「松山英樹選手がメチャクチャ強い試合」として記憶しているファンの方も多いと思います。2016、17年と大会を連覇。過去21ラウンドでオーバ...
2020/01/23進藤大典ヤーデージブック

タイガー伝説が息づく地 サウス18番の2オンは鳥肌モノ

トーリーパインズGC サウスコース 18番パー5 (570yd) PGAツアーは本土に戦いの場を移し、いよいよシーズンが本格化します。今週はサンディエゴにあるトーリーパインズGC。タイガー(ウッズ)が過去7勝を誇る大会であり、全米オープンが開催された2008年は左ひざに故障を抱えながらプレーオフにもつれる死闘を制した舞台。もはや説明不要の感すらある名コースですね。 太平洋を一望できる雄大なコースはサウスとノースの36ホールあり、予選ラウンドは両コースを1日ずつプレーし、決勝ラウンド2日間はサウスのみで行われます。パブリックながら、サウスの総距離は7765yd。昨季(前年大会は7698yd)のP...
2021/06/29進藤大典ヤーデージブック

8ホールの死闘にあっぱれ 極限プレーオフは腰が抜ける?

コネチカット州TPCリバーハイランズで行われる「トラベラーズ選手権」の日曜日は、近年数多くのドラマが起きています。2016年大会にジム・フューリックがPGAツアー唯一の「58」を出し、翌年はジョーダン・スピースがバンカーからのチップインバーディで決める劇的な優勝。そして、今年はハリス・イングリッシュとクラマー・ヒコックによってPGAツアーで2番目に長さに並ぶ8ホールのプレーオフが繰り広げられました。 サドンデス方式に限れば、1949年「モーターシティオープン」の11ホールがツアー最長記録。暗闇で続行できなくなり、ロイド・マングラムとケリー・ミドルコフの両者優勝、優勝者と2位の賞金を2人でキレイ...
2021/07/06進藤大典ヤーデージブック

【進藤キャディ解説】新星台頭の陰で心配なニュース 対策徹底でも新型コロナ陽性の恐さ

PGAツアーは「トラベラーズ選手権」に続いて「ロケットモーゲージ・クラシック」でもプレーオフ決着となりました。26歳のキャメロン・デービス(オーストラリア)がトロイ・メリット、ホアキン・ニーマン(チリ)と優勝経験のある2人を振り切って初タイトルをつかみました。 手前のバンカーからチップインイーグルを決めた17番(パー5)、外せばプレーオフに進めない2mの微妙な距離をねじ込んだ最終18番と上がり2ホールの集中力が圧巻。5ホール目までもつれたプレーオフでも安定したショットでスキを見せず、常に相手にプレッシャーをかけ続けた末の勝利に強さを感じました。 キャリア初優勝は2017年のオーストラリアツアー...
2021/06/22進藤大典ヤーデージブック

出来過ぎたドラマ ジョン・ラームを導いたスライスライン

まるで漫画のようなジョン・ラーム(スペイン)の優勝でした。4年前にPGAツアー初優勝を飾ったカリフォルニア州トーリーパインズGCが舞台となる「全米オープン」。妻のケリーさんにプロポーズした思い入れのあるサンディエゴ。最終日は4月に息子のケパ君が生まれて初めて迎える「父の日」。名実ともに“メジャー初優勝に一番近い男”が壁を越えるタイミングとして、これでもかと材料がそろっていました。 14日(月)にコースチェックで会場を歩いていると、ラームはブルックス・ケプカと練習ラウンド中。2週前の「ザ・メモリアルトーナメント」で後続に6打差をつけて最終日を迎えるはずが、新型コロナウイルス感染の陽性判定で棄権を...
2021/10/12進藤大典ヤーデージブック

昨季498バーディは史上最多 “若き鉄人”イム・ソンジェ

イム・ソンジェ(韓国)がPGAツアー出場100試合目となった「シュライナーズチルドレンズオープン」でツアー2勝目を挙げました。初優勝だった昨年「ザ・ホンダクラシック」が50試合目。節目の勝負強さとともに際立つのが、23歳の若さで100試合も出場しているという事実です。 2016年から2シーズンは日本ツアーでプレー。18年に挑戦した米下部ツアーではデビュー戦でいきなり優勝を果たしました。19歳9カ月17日での優勝は元世界ランキング1位ジェイソン・デイ(オーストラリア)の19歳7カ月26日に次ぐツアー2番目の年少記録。アジア勢として初の同ツアー賞金王にも輝きました。 PGAツアーに昇格した翌年はプ...
2021/10/05進藤大典ヤーデージブック

サム・バーンズの“キレキレ”ショットで思い出す伝説の「61」

サム・バーンズが余力すら感じさせるプレーで「サンダーソンファームズ選手権」を制しました。 最終日に優勝争いを演じた多くの選手が下部コーンフェリーツアーからの昇格組。1打差2位でフィニッシュしたニック・ワトニーもツアー5勝の実力者ですが、けがを境に低迷して今シーズンは一度しか使えない生涯獲得賞金50位以内という資格を行使しての参戦と後がない立場です。 一方のバーンズは出場選手中トップの世界ランキング25位。下部ツアーから上がって3シーズン目の昨季、5月「バルスパー選手権」で初優勝、最終戦「ツアー選手権」にも初めて進出して飛躍を遂げました。 松山英樹選手が惜敗した8月「WGCフェデックス セントジ...
2021/09/08進藤大典ヤーデージブック

【進藤キャディ解説】強靭メンタルでつかんだ16億円 カントレーが乗り越えてきたモノ

メジャー6試合を含め50試合が開催されたPGAツアーの“スーパーシーズン”は、パトリック・カントレーが年間王者に輝き、ビッグボーナス1500万ドル(約16億4000万円)を獲得して幕を閉じました。 初日10アンダー首位スタートというポイントランキング1位のアドバンテージは、裏を返せばプレッシャーでもあります。その重圧をものともせず、トップを守り切る見事な完全優勝でした。 プレーオフシリーズ第2戦「BMW選手権」からの2連勝の要因は、さえわたっていたパッティングと強靭なメンタルでしょう。 ブライソン・デシャンボーと激闘を演じた前週に続き、最終戦は世界ランク1位ジョン・ラーム(スペイン)との一騎打...
2021/09/21進藤大典ヤーデージブック

“中1週”でリスタート 長丁場を戦い抜くPGAツアーの猛者たち

PGAツアーの2021-22年シーズンが開幕しました。前シーズンの最終戦はわずか2週前のこと。世界最高峰のツアーでしのぎを削る選手たちに求められるのは、技術だけではありません。ロングシーズンを戦い抜く体力と精神力、パフォーマンスを維持もしくは向上させていくための継続的なトレーニング、4大メジャーをはじめとするビッグトーナメントにピークを合わせるためのスケジューリングなど多岐にわたります。 数カ月のオフを挟むカレンダーであれば、体を休めつつシーズンの戦いを整理し、新たな目標を立て、腰を据えて取り組む時間があります。PGAツアーで生き残っていくためには目の前の試合を全力で戦いながら常に先を見据え、...
2021/10/26進藤大典ヤーデージブック

コロナ禍を吹き飛ばす“鳥肌イーグル” 松山英樹は役者が違った

まさに役者が違いました。松山英樹選手が「ZOZOチャンピオンシップ」でPGAツアー通算7勝目を飾りました。2019年大会で優勝争いを演じたタイガー・ウッズの足跡をたどるように、同一年の「マスターズ」と「ZOZO」を制覇。2017年「WGC ブリヂストン招待」最終日にウッズのコースレコードに並ぶ「61」をマークして逆転勝ちを収めたときもそうでしたが、同じ日本人として誇らしい気持ちになります。 今回は仕事で会場に足を運んでいたため、久しぶりに生で松山選手の優勝を見届けることができました。本人がインタビューで繰り返していたように、練習場を見る限り少しボールが散らばっている感じはありましたし、状態その...
2021/11/02進藤大典ヤーデージブック

公傷クリアへ残り2戦 うれしいダニー・リーの復活

ルーカス・ハーバート(オーストラリア)の初優勝で幕を閉じた「バミューダ選手権」。僕は久しぶりに上位で戦うダニー・リー(ニュージーランド)を見てうれしくなりました。 最終日の後半11番までは首位だっただけに、本人の中では2015年「ザ・グリーンブライアークラシック」以来のツアー2勝目に届かなかった悔しさも大きいかもしれません。 しかし、昨季は出場24試合でトップ10入りゼロ。予選落ちが12試合を数え、棄権も4試合ありました。肩のケガで「マイナー・メディカルエクステンション(メジャー・メディカルエクステンションより出場優先順位の低い公傷制度)」の適用を受け、まさに瀬戸際にいるのです。 雨と風が吹き...
2021/11/16進藤大典ヤーデージブック

「オレが優勝させてやる」 谷原秀人とつかんだ初Vの記憶

これまでPGAツアーから話題をピックアップしてきた本コーナーですが、今回は特別編です。「三井住友VISA太平洋マスターズ」で谷原秀人選手が5年ぶりの優勝。僕にとっては、プロキャディ人生で初めて優勝をサポートさせてもらった大恩人。黙っていられず(笑)、スペシャル版として筆を執ることになりました。 「オレがお前を優勝させてやる」。専属キャディとしてともに戦うことになった2006年、最初にそう言われたことをはっきりと覚えています。 そして、6月の「JCBクラシック仙台」で優勝。すでに夢見心地だった僕は、表彰式でスピーチする谷原選手に突然名前を呼ばれて驚きました。「きょう勝てたのは君のおかげです、進藤...
2021/11/24進藤大典ヤーデージブック

【進藤大典キャディ解説】松山英樹の快挙に感涙した2021年 “あの選手”の完全復活にも期待の22年

テーラー・ゴーチの初優勝で幕を閉じた「ザ・RSMクラシック」。この大会で2021年のPGAツアートーナメントは全日程を消化しました。 12月はタイガー・ウッズが主催する「ヒーローワールドチャレンジ」、ダブルス戦の「QBEシュートアウト」といったツアー外競技を残すのみ。2021-22年シーズンは来年1月にハワイで開催される「セントリートーナメントofチャンピオンズ」から再開となります。 振り返ってみれば、これまでにないほど濃密な一年でした。松山英樹選手の「マスターズ」初制覇、日本開催「ZOZOチャンピオンシップ」凱旋Vの感動と興奮が、まるで昨日のことのようによみがえります。 ジョーダン・スピース...