2019/09/17GDOEYE

畑岡と渋野が示した、勝つために必要な“新水準”

◇国内女子メジャー第2戦◇日本女子プロ選手権大会コニカミノルタ杯 最終日(15日)◇チェリーヒルズGC(兵庫)◇6425yd(パー72) 日本女子プロゴルフ協会の小林浩美会長は、大会新記録となる通算18アンダーで優勝した畑岡奈紗のプレーを「本当に素晴らしかった」と満面の笑みで称えた。2位に8打差をつける圧勝劇は「セッティングに対する岡本(綾子)さんの意図が反映した内容」という。この爆発的なプレーこそ、まさに協会が求めていたものだった。 今大会でコースセッティングを担当した岡本綾子は、開幕前に「ラフは想定より長くなったけど、フェアウェイのコンディションが素晴らしい。4日間を通してラフに入れない技...
2019/09/23GDOEYE

葛藤克服 渋野日向子が取り戻した「ありのまま」の自分

◇国内女子◇デサントレディース東海クラシック 最終日(22日)◇新南愛知CC美浜コース (愛知)◇6446yd(パー72) 大会の開幕2日前に、渋野日向子が口にしていた言葉がある。「最近は笑顔が少なくなっているかもしれない。前ほど楽しんでやれていないのかなあ」。8月の「AIG全英女子オープン」を制してから国内5試合目で優勝を飾った渋野は、凱旋帰国からの約1カ月半について「自分のプレーができずに葛藤があった」と胸内を明かした。 昨年のプロテストに合格し、迎えた今季のルーキーイヤー。「ツアーに出だしたときは、試合に出られることがうれしかった」という立場は、日本人女子42年ぶりの海外メジャー制覇を遂...
2019/09/21GDOEYE

長尺・中尺パター 国内シニアメジャーでの使用率は

◇国内シニアメジャー◇日本シニアオープン 2日目(20日)◇日高CC東西C(埼玉県)◇7019yd(パー72) レギュラーツアーにおいては男女や国内外を問わず、長尺や中尺パターを握る選手はやはりまだ数少ない。日本では1試合で5人いるかどうか…も疑わしい。それが50歳以上の選手が集う男子シニアの世界では事情が異なる。ことしの「日本シニアオープン」では、出場126人のうち長尺、あるいはグリップエンドを余らせて中尺を打つ選手が28人いた。 この「使用率22%」という数字はレギュラークラスのみならず、一般市場と照らし合わせると驚くべきもの。ある大手パターブランドによると、販売するパターのうち長中尺モデ...
2024/07/15GDOEYE

「東京五輪に出ていたら…」 古江彩佳の“人生”を変えた涙とエビアン

◇女子メジャー第4戦◇アムンディ エビアン選手権 最終日(14日)◇エビアンリゾートGC(フランス)◇6523yd(パー71) 今になって思えば、全てはつながっているのかもしれない。古江彩佳が「アムンディ エビアン選手権」で成し遂げたメジャー初優勝は、そんな巡り合わせを感じる“縁”に満ちている。 始まりは初出場した2021年より、もっと前の2013年。日本ジュニアゴルフ協会の海外派遣競技として「エビアン選手権ジュニアカップ」に出場した。当時13歳。女子の日本勢は石井理緒と2人だった。母・ひとみさんは、個人戦18位という結果以上に「フランスパンがおいしかった!」と満面の笑みで帰国してきた娘の表情...
2024/08/13GDOEYE

松山英樹の歓喜、シェフラーの涙… やっぱりオリンピックは“特別”だった

「パリ五輪」3日目のプレーを終えた松山英樹がパッティンググリーンの片隅で練習していた。すでに最終日に向けてコーススタッフが芝を刈り、カップを切り直して準備を進めている時間帯。ほかに選手の姿はなかった。 3打差4位で迎えるラスト18ホールへ、やれることは全てやっておく――。常に100%の準備で試合に臨む松山だが、このオリンピックに懸ける姿勢は鬼気迫るものがあった。最終盤まで金メダルの可能性を残す激闘の末につかんだ銅メダルへの喜びようも、その重みを物語っていた。 金メダルを獲得したスコッティ・シェフラー(米国)は、国歌斉唱で大きな背中を少し丸めて泣いた。大会2勝目を挙げた4月「マスターズ」はひ...
2023/06/12GDOEYE

「ハチャメチャな選手」から探る正解 コーチと渋野日向子が試した一週間

◇国内女子◇宮里藍 サントリーレディスオープンゴルフトーナメント◇六甲国際GC(兵庫県)◇6513yd(パー72) 3日目(10日)の最終組がスタートする午前11時ごろ、ドライビングレンジのはしっこで予選落ちした渋野日向子が練習していた。右手には剣道のコテのような練習器具を装着し、青木翔コーチとスイングを確認しながらボールを打ち続けていた。 器具はスイングの際に手首の角度をキープするためのもので、青木コーチが米国からインターネットで取り寄せたという。「手首を返さないよう、手の甲を器具に当てたままダウン(スイングを)しようとやってみた」と、前日の金曜日に届いたばかりの器具を使ったショット練習は3...
2023/05/20GDOEYE

スイングに悩むイ・ボミ 悪天候の18ホールを早朝から見守るファンの思い

◇国内女子◇ブリヂストンレディスオープン 2日目(19日)◇中京GC 石野コース (愛知)◇6573yd(パー71)◇雨(観衆2543人) 今シーズンで日本ツアーを離れるイ・ボミ(韓国)は、思い通りに打てないスイングに頭を抱えている。「重心が整った状態で動き出したいんだけど、なかなかそれが出来ない。体を止めると手が動かない。手を動かそうとすると体が動いちゃう。それが、もうずっと。終わる前には分かるかな…」 今季初の予選通過を目指した3試合目は初日に「80」をたたき、2日目も2バーディ、6ボギーの「75」とスコアを落とした。通算13オーバーはカットラインに遠く及ばない。限られた出場機会で1日でも...
2023/11/09GDOEYE

「僕は甘かった」欧州でフルシード獲得ならず 比嘉一貴のこれから

◇国内男子◇三井住友VISA太平洋マスターズ 事前情報(8日)◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡)◇7262yd(パー70) スコットランド上空の雨雲は猛威を振るい、セントアンドリュースをはじめとした世界に名だたるゴルフ場は水浸しになった。10月の「アルフレッド・ダンヒルリンクス選手権」は連日の大雨で月曜日まで順延され、54ホールに短縮にして競技が成立。全選手が3コースを回る試合で、比嘉一貴が最後に回ったカーヌスティGLはバンカーが“池”になるほどで被害が最も大きかった。そんな、およそフェアとは思えない悪条件も言い訳にはできない。 宿泊施設が望んだようなものではなかったり、フライトが遅れたりする...
2023/11/20GDOEYE

杉浦悠太は即プロ転向で副賞ゲット “日本一”の宮崎牛それぞれの行方

◇国内男子◇ダンロップフェニックストーナメント◇フェニックスCC(宮崎)◇7042yd(パー71) 「歴史」のはじまりは大相撲だったそうだ。「ダンロップフェニックス」の優勝副賞である宮崎牛が、プロスポーツの場で贈呈されるようになったのは1986年の九州場所。宮崎県知事賞として当時の優勝力士だった横綱・千代の富士に贈られ、以後プロ野球の巨人軍や、日本代表・侍ジャパンがキャンプで来県した際などに絶好のPR機会として登場する。 ダンロップフェニックスで採用されたのは2007年からで、イアン・ポールター(イングランド)が最初の受賞者になった。クラブハウスで牛丼をおかわりしたタイガー・ウッズはその2年前...
2023/08/07GDOEYE

優勝前夜はお外で“ぼっち” 中島啓太「男子ゴルフは絶対おもしろい」

◇国内男子◇横浜ミナト チャンピオンシップ ~Fujiki Centennial~ 最終日(6日)◇横浜CC(神奈川)◇パー71(7231yd)◇雨(観衆2299人) 3時間以上に及ぶ中断も、ものともしない。鮮やかな逆転劇で賞金ランキング1位に返り咲いた中島啓太は、堂々とフェアウェイをかっ歩するコースの外では“フツーの23歳”らしい。 遠征中は日体大時代の先輩である河本力と一緒に夕食をとるのがルーティン。「ほぼ焼肉」の毎日で、店の席につくなり河本がメニューを眺めて全員分の注文を完了させる。おいしいにはおいしいけれど、毎日続くと胃腸の状態がちょっぴり不安。ちなみに支払いはじゃんけんで決まる。 今...
2023/08/28GDOEYE

ゴルフ場で気球に乗れた KBCオーガスタの来場者数は再び“右肩上がり”

◇国内男子◇Sansan KBCオーガスタ 最終日(27日)◇芥屋GC(福岡)◇7216yd(パー72)◇晴れ(観衆9449人) ゴルフではそよ風に近い風速3m/sは、気球の世界では“ギリギリ”らしい。地上につながったロープで固定して浮遊する地上20~30mまでの「係留飛行」も、風速4m/s以上になると大きく流されてしまう恐れから中断せざるを得ないそうだ。 9番(パー5)の左サイドの林の向こう。芥屋GCの一画では週末、イベントのひとつとして気球の飛行体験が行われた。来場者なら誰でも、先着順でパイロットが操縦する“空の旅”へ。時間にして3分ほど、高さおよそ20mからの景色は多くのホールを見渡せる...
2024/08/25GDOEYE

富士登山の8合目 北米で一番“天国に近い”ゴルフ場に響いた「マツヤーマー!」

「BMW選手権」が行われたキャッスルパインズGCの標高は、平均で約1889m(6200フィート)にも及ぶ。空気抵抗が少ない高地ではゴルフボールがよく飛ぶため、世界トップレベルの選手でもショットの飛距離を合わせるのに一苦労。そして、同じコロラド州内にはさらに空に近い、北米で最も高いところにあるゴルフ場が存在する。 キャッスルパインズGCから直線距離で南西に130㎞あまり。マウントマッシブGCは大都市デンバーから約2時間、自動車でアップダウンを何度も繰り返した先にあった。リードビルという町にほど近く、その標高はなんと3094m(1万152フィート)。富士登山で最もポピュラーな吉田ルートでいうと、8...
2023/12/04GDOEYE

男子ツアーで切り撮った渾身の一枚は? フォトグラファー阿部未悠の撮影記/後編

◇国内男子◇ゴルフ日本シリーズJTカップ 31日(初日)◇東京よみうりCC(東京)◇7023yd(パー70) 女子プロゴルファーの阿部未悠が男子ツアーの最終戦に乗り込み、トーナメントカメラマンデビューを果たしたのは既報の通り。前編ではアウトコースで撮影した写真を中心に掲載し、一日の撮影の流れやトーナメントを撮ることの難しさを伝えてきた。後編では彼女が切り撮った写真を元に、その狙いや撮影技術の細かい話を本人が語る。東京よみうりCC名物の18番ホールを、フォトグラファー阿部はどのように切り撮ったのか? 人間は難しい。動かないほうが楽? 練習グリーンから富士山がくっきり見えるほど、この日(初日)...
2023/12/01GDOEYE

もし女子プロが男子ツアーを切り撮ったら?フォトグラファー阿部未悠の撮影記/前編

◇国内男子◇ゴルフ日本シリーズJTカップ 初日(11月30日)◇東京よみうりCC(東京)◇7023yd(パー70) 「人間撮るの2回目なんです。1回目の人間は吉田優利でした」と、日本シリーズJTカップのプレスルームでおどけるのは、女子プロの阿部未悠。今季、メルセデスランキング37位という堂々のシード選手だが、初出場だった前週の最終戦「リコーカップ」の興奮冷めやらぬまま、東京よみうりCCに乗り込んできた。 男子ツアーの観戦?いやいや、今週は男子プロを切り撮るため、お仕事の発注を受けたフリーフォトグラファーなのだ。クラブを一脚に持ち替え、重い機材を担いでコースのアップダウンを闊歩する。なぜ阿部未悠...
2023/08/25GDOEYE

“お母さん”もどうぞゴルフ場へ 男子ツアー会場にベビーラウンジ

◇国内男子◇Sansan KBCオーガスタ 初日(24日)◇芥屋GC(福岡)◇7216yd(パー72) シード2年目の阿久津未来也は未婚である。自身はひとりっ子で、近い親族にも小さい子どもはいない。そんな28歳が発案したツアー会場のギャラリーサービスが「ベビーラウンジ」だというのだ。 18番グリーン後方、スコア提出所の横に設けられた一画は、来場した未就学児を受け入れる保護エリア。室内には子どもたちが遊べるボールプールの他、仕切りを設置しておむつ替えや授乳ができるスペースを設けた。欧米のツアーでは選手の子どもを預かるサービスが各会場にあるが、日本の男子ツアーでは珍しい。しかもギャラリー向けもとな...
2023/08/26GDOEYE

「来ちゃいました」 宮里優作の“大ファン”はその夜、新幹線に飛び乗った

◇国内男子◇Sansan KBCオーガスタ 3日目(26日)◇芥屋GC(福岡)◇7216yd(パー72)◇晴れ(観衆6071人) 「まさか僕がここに来るとは思っていなかったでしょう。オレだって思ってなかった」。ムービングデーのベストスコア「65」をマークして、インタビューエリアで笑った宮里優作。ロープサイドには、本人だって予想できなかった好スコアをずっと信じていた人がいた。 蒸し暑い福岡のコースを、ブリヂストンの日傘を差してロープサイドを歩いていたのは、長女の莱杏(らん)さん。14歳の中学3年生は昨晩、自宅のある名古屋からひとり新幹線に乗り、午後11時近くに博多にやって来た。これまで母や弟と一...
2019/06/17GDOEYE

「宮里藍さんのように」 サントリーレディスが貫く信念

◇国内女子◇宮里藍 サントリーレディスオープンゴルフトーナメント 最終日(16日)◇六甲国際GC(兵庫)◇6511yd(パー72) 「宮里藍 サントリーレディス」には貫かれる信念がある。サントリーコミュニケーションズ株式会社宣伝部の齋藤勇課長は「多くのアマチュアに門戸を開いています。この大会がプロの世界で戦う前の最初のステップになってほしい。プロと一緒にプレーすることで見て感じるものもある」と説明した。 2002年以降、アジア各国のゴルフ協会から推薦されるアマチュアにも出場枠を広げている。今大会の120人中、15人がアマチュア選手で、うち7人が海外勢だった。17歳のユウカ・サソウ(フィリピン)...
2019/07/11GDOEYE

プロゴルファーの心拍数可視化 石川遼の分析と期待

◇ツアー外競技◇ひかりTV 4K・FUNAI ダブルスゴルフ選手権(10日)◇平川カントリークラブ(千葉県)◇6892yd(パー72) 国内男子のトッププレーヤーがダブルスで対戦した異色の大会。その模様はNTTぷららが運営する「ひかり TV 4Kチャンネル」で、ゴルフでは初の高画質4Kで生中継された。さらに、運営サイドによって投入された中継技術のひとつがプレー中の選手の心拍数が分かる「非接触バイタルセンシング、表情解析システム」だ。 カメラで顔色の変化をとらえ, そこから脈拍を推定するという技術。「新しいゴルフ中継の楽しみ方を提供したい」という主旨で、特定のホールでは、テレビ画面の左下に選手の...
2019/03/31GDOEYE

アン・シネのいばらの道 韓国ツアーが海外出場の制限を強化

◇国内女子◇アクサレディス in MIYAZAKI 2日目(30日)◇UMKCC(宮崎県)◇6525yd(パー72) 主催者推薦で今季初出場したアン・シネ(韓国)は通算2オーバーで予選落ちし、最終日の決勝ラウンドに進めなかった。韓国ツアー(KLPGA)のシード権を失う覚悟で臨む日本ツアーだが、こちらも出場機会は限られ、いばらの道が続く。 2015年に韓国ツアーのメジャー大会「KLPGA選手権」を制覇して得た同ツアーのシード権は、今年で切れる。さらにKLPGAが海外の試合への出場に関する制限の強化を打ち出したことが、苦境に追い打ちをかける。 韓国ツアーに詳しい関係者によると、2019年シーズンか...
2019/03/23GDOEYE

微笑みの国から来た19歳 ヘッドカバーに刻む言葉

◇国内女子◇Tポイント×ENEOS ゴルフトーナメント 初日(22日)◇茨木国際GC(大阪)◇6219yd(パー71) 気温11.2度。母国タイでは経験できない、あまりの寒さに身を震わせた。S.ランクンは首位と1打差となる2アンダー2位で初日を終え「風も強くて、とても寒かった。そんな中で頑張れたので、いい結果になった」と笑みを浮かべた。 今季3戦目の19歳は、12歳から競技を始め、得意のクラブは飛距離250ydを誇るドライバー。憧れは同じタイ出身で元世界ランク1位のアリヤ・ジュタヌガンだ。日本を初めて訪れた昨年の最終QTで32位に食い込んだことで、「日本とタイは近いし、食べ物も飲み物もおいしい...