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<選手名鑑185>ライアン・ラフェルズ(前編)

■ “Are you ready?”スピースの次世代 ジェネレーションZ(Z世代)の出現

今大会はプロ1人とアマ1人が一緒にチームを組み、3コースをプレーするプロアマ戦だ。プロもアマそれぞれ156人、計312人が参加する大規模な大会で、日照時間の短い2月では参加人数が最も多い試合でもある。そのため出場優先順位の低い選手やシード権を持たない選手も繰り上がって参加するケースが多い。その中で今回はスポンサー推薦で出場する最新世代の17歳、今年1月14日にプロ転向したばかりのライアン・ラフェルズに注目したい。

世代の推移を見てみると、現在の世界ランクは22歳のジョーダン・スピース、2位は26歳のロリー・マキロイ、3位は28歳のジェイソン・デイ、4位は27歳のリッキー・ファウラーと、20代のジェネレーションY(以下、Y世代)がズラリ。ツアーの勢力図はタイガー・ウッズフィル・ミケルソンらジェネレーションXから、75年~95年生まれのY世代(呼称:ミレ二アルズ)へとシフトし、雰囲気が変わった。時代は風雲急を告げる!?とばかりに、ラフェルズは98年生まれで、スピースより5歳下の95年以降に生まれたジェネレーションZ(以下、Z世代)だ。彼に続き2000年以降に生まれた選手たちが次々に名乗りを挙げるのは時間の問題で、ラフェルズはその先陣かもしれない。

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■ マキロイもZ世代にビックリ

ラフェルズは2013年、15歳の時に出場した豪州オープンで、ロリー・マキロイと練習ラウンドをともにした。同世代に思えるが、マキロイは89年生まれで9つの差があり、微妙な違いを感じたようだ。ラフェルズらZ世代はインターネットのない世界を知らない。幼少期からスマホやタブレットのアプリを使い、SNSにも慣れ親しみ、Youtubeで見たい映像をいつでも見ることができる。ラフェルズは「スマホの使用頻度や中身はかなりヘビー」と自身が言うほどで、SNSの達人マキロイでも驚いたほどだった。マキロイはそんな彼を心配し、「帰宅したら4時間は電源を切り、自分の時間を持つこと。これはゴルフにとっても私生活にとっても大切なこと」と諭した?という。

内容は異なるが、少し前に似たようなエピソードが…。マキロイがツアー入りした頃、兄貴分のウッズから公私に渡り助言をもらっていた。このように、世代から世代へ、経験が継承されていくのだろう。

■ メジャー覇者オメーラから贈られたスチールシャフトのアイアン

ラフェルズは1998年4月29日、米国フロリダ州で生まれた。タイガー・ウッズがマスターズで劇的初優勝を飾った翌年のこと。父レイは豪州出身のプロテニス選手で、現役時代の世界ランク最高位は26位、国別対抗デビス杯で3度の優勝を経験した著名選手だ。母アンナマリア・フェルナンデスもプロテニス選手で、南カリフォルニア大学時代からスター的存在だった。女子国別対抗のフェド杯選抜選手、WTAツアーのダブルスで5勝という戦績を残している。そんな両親の影響を受け、ライアンもテニスを始め、同時にサッカーやゴルフなど様々なスポーツを楽しみながら成長した。妹ガブリエラもスポーツが大好きというスポーツファミリーだ。

両親はフロリダ州内でも多くのセレブが居住するアイルワース内にあるテニス施設の所属(居住)プロで、ウッズをはじめ同地に住む多くのトップアスリートに可愛がられるなど恵まれた環境で育った。ある日、近くに住んでいるマーク・オメーラが、ラフェルズにひらめきを感じ、自身のクラブを短くし「これでスイングしてごらん!」とプレゼントしたのだ。オメーラはラフェルズが誕生した98年のマスターズ、全英オープンで優勝したスーパースター。彼が使っていたスチールシャフトの重いクラブで、時にトッププロたちの指導を受けスイングを習得していった。

■ 豪州で一気に才能開花

両親の仕事の関係で、一家はフロリダから南カリフォルニアに転居した。同地で通った学校は二か国語の授業で、英語とスペイン語のバイリンガル教育で育った。10歳の時、テニスの12歳部門で同地域1位になるなど、親譲りの才能を見せ始め、周囲はプロテニス選手を目指すものと思っていた。その後、父が母国豪州の代表選手(テニス)を育成する機関でヘッドコーチに就任することになり、メルボルンへ転居。豪州での新生活はラフェルズに大きな心境の変化を与え、素晴らしいゴルフ場、育成システム、仲間たちと巡り合い、テニスではなくゴルフにフォーカスしようと決めた。

2013年からは快進撃がスタートする。豪州ボーイズアマ優勝などビッグイベントで勇躍。2014年3月には、豪州トップアマ集結のリバースデール杯で最年少15歳で優勝を飾った。トッププロが出場する全豪オープンでは、2013年、2014年と2年連続でトップ25に入賞、2014年の全豪マスターズでは17位に入った。一緒にプレーしたアダム・スコットをアウトドライブし、ギャラリーを驚かせたりもした。同年のハンディキャップは「5」になっていた。

評判は米国にも届き、2015年7月にはPGAツアーのカナディアンオープン※に推薦出場を果たした。チェ・キョンジュと練習ラウンドをともにし、バンカーショットでは貴重な助言をもらった(※予選は通過したが惜しくもセカンドカット)。同年、欧州ツアーのフランスオープンでもプレーするなど、世界からの出場オファーで忙しい日々を送るようになっていった。学校を休むことが多くなり、ゴルフに集中するためにもホームスクール受講を検討したが、彼は「学校で友達と触れ合うことが何より好きなんだ」と、できる限り登校を続けてきた。そのような折に、豪州の自宅にフィル・ミケルソンから電話がかかってきて・・・(続きは次週)

※後編は、ミケルソンとの真っ向勝負などを予定

佐渡充高(さどみつたか)
ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

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2016年 AT&Tペブルビーチナショナルプロアマ



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