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<佐渡充高の選手名鑑 106>フィル・ミケルソン【後編】

2014/02/05 10:00

■ 初代オメーラから引き継いだ称号「プリンス・オブ・ぺブル」

今大会の最多優勝はマーク・オメーラ(57)の5勝で彼がレギュラーツアーでプレーしている頃は“プリンス・オブ・ペブル”と言われていた。現役の選手の中の今大会の最多優勝は4勝のフィル・ミケルソン。オメーラの称号を継承したといっても過言ではない。ミケルソンは優勝記録だけではなく、今大会に関して様々な記録をも樹立している。一つは「20年間連続出場」だ。1995年に今大会初出場し、今年で20回目となり、現役選手の中では「最多出場」を誇る。20年という長期に渡る挑戦の中で、ミケルソンは4勝以外にトップ10に3回、そのうち3位2回という抜群の成績を残している。名実ともにペブルビーチのプリンスであるミケルソン、出場20周年の今大会では円熟のプレーが楽しみだ。

■ ペブルビーチ4勝メモリーズ

1992年にアリゾナ州立大学を卒業しプロに転向。ペブルビーチGLとは縁があり、プロになって初出場のメジャー大会もペブルビーチGLで行われた全米オープンと、プロ生活の「原点」とも言える思い出深いゴルフ場である。ペブルビーチ・プロアマでの初優勝は1998年。現地2月は悪天候の日が多く、1996年大会などは降り続く雨の影響で試合自体がキャンセルになったこともあった。1998年も4日間ずっと雨が降り続き、試合は54ホールに短縮された。それでも36ホールしかプレーが行えず、苦肉の策で3ラウンド目の最終日を半年後の8月に開催するという異例の事態となった。8月17日に行われた最終日は、棄権する選手が少なくなかったが、その中でミケルソンはトム・ワトソンを逆転して今大会初優勝を飾ったのだった。

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今大会2勝目は2005年で、初日から単独首位を続ける完全優勝。現在でも記録は破られておらず、ミケルソンはただ一人の「完全優勝達成選手」となった。今大会3勝目となった2007年大会は通算20アンダーの大会記録タイをマーク。そしてツアー30勝目の記念すべき優勝でもあった。そして4勝目は2012年で、この優勝でツアー40勝目を挙げ、同年5月に世界ゴルフ殿堂入りを果たした。ペブルビーチでの勝利は記録や実績のみならず、彼に勇気と自信を与え躍進を後押し。さらに30勝、40勝という節目の勝利を飾った、特別な思い出の場所にもなった。

■ ペブルビーチ初代キャディの祖父サントスから受け継いだ1ドル銀貨

ミケルソンは今大会をプレーする際には必ず1900年製の1ドル銀貨をマーカーに使う。その銀貨は祖父から受け継いだ大切なものだ。母方の祖父アル・サントスは孫のフィルにゴルフを教え、亡くなるまで応援し続けてくれた最愛の人だった。先代がイタリアから米国へ移住し、祖父はペブルビーチのあるモントレー地区で生まれ育った。家は食事も十分に摂れない日もあるほど貧しかった。家計を支えるために小学4年生で中退し、近くのデルモンテGCのキャディをして金を稼いだ。その後の1919年にペブルビーチGLがオープンし、初代のキャディとして採用された。彼は1ドル銀貨に夢と希望をこめ、いつもポケットに入れお守りにしていた。貧しさを感じた時には銀貨を磨きながら「銀貨があるから大丈夫」と自分に言い聞かせ、気持ちを奮い立たせていたという。

ミケルソンは2004年4月にマスターズで優勝し、初メジャー制覇を果たした。実はその1か月前に祖父が他界。最終日の渾身のプレーは、祖父への万感の思いがあった。メジャー未勝利のトッププロと揶揄され続けた彼が、分厚い壁を突破した契機は祖父との別れだった。その後、ミケルソンはペブルビーチでプレーする際に、この形見の銀貨を使うようになったのである。

佐渡充高(さどみつたか)
ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

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2014年 AT&Tペブルビーチナショナルプロアマ



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