キャリア最高の年になるかもしれないバッバ・ワトソン
By Staff and wire reports, PGATOUR.COM
メジャー2勝を含むPGAツアー6勝に、「ツアー選手権byコカ・コーラ」への4度の出場歴・・・これらはバッバ・ワトソンがこれまでのキャリアで成し遂げてきたことだが、まだ手に入れてないものもたくさんある。
そして明日、新たな1つが加わるかもしれない。
米オハイオ州のミュアフィールドビレッジGCで開催中の「ザ・メモリアルトーナメント」3日目、ワトソンは「69」をマークし通算12アンダーの「204」で単独首位に。明日の最終日に勝てば、シーズン自己ベストの3勝かつ、この時期におけるフェデックスカップランキングで初の1位になるだろう。
この偉業が、ワトソンがトップ20位以内の成績を残したことがなかったコースで達成されるかもしれないのだ。
「要は成熟さかな」と話すワトソン。「コースをかなり見直せるようになっている。PGAツアーに参戦して9年目だから、コースを見直すことで良いショットが打てるようになっているんだ。パーオンやフェアウェイキープの回数が増えたし、今年はパットの調子も少しだけ良くなっている。そういったことをすべて合わせれば、スコアだって良くなるってものだよ」。
3日目に「67」をマークしたスコット・ラングレーに1打差の単独首位で最終日に臨むワトソン。彼の調子が上がっているのは間違いない。また、2打差の単独3位には松山英樹(69)が、3打差にはアダム・スコット(69)がつけている。
ワトソンは今大会3日目、14ホール中10ホールでフェアウェイをキープし、18ホールのうち14ホールでパーオン。その一方、パットのスコア貢献率は76名中54位で、このコースで“パットを決めるのはかなり難しい”ことがうかがえる。
パットが難しい状況は、ミュアフィールドではよくあること。このコースはジャック・ニクラスが初優勝した「全英オープン」の会場から名を取っている。ニクラスはこの勝利でキャリア初のグランドスラムを達成した。だが、ミュアフィールドビレッジGCはスコットランドのコースに由来しているものの、レイアウトの構想は、予測不能でかつ容赦ない傾斜がそこかしこにある、米ジョージア州・オーガスタナショナルGCによるものだ。
「傾斜の中には、自分の強みを使わないといけないものがある」と話すワトソン。「傾斜を使うんだ・・・できる時はね」。
やはり(マスターズと)似ているのだろうか?
実のところ、ここ4大会の「マスターズ」覇者(2012年と14年のワトソン、13年のスコット、11年のチャール・シュワルツェル)は皆、リーダーボードの上位5位内におり、今大会の最終日に臨む。
シュワルツェルは今年の「マスターズ」で2位だったジョーダン・スピースや、今大会3日目で「76」と崩れ、首位から後退したポール・ケーシーら5名と共に現在5位につけている。
「今日は多くのプレーヤーがロースコアを出した」と振り返るケーシー。「(僕は)明日(最終日)にまた大暴れするつもりさ。どうなるかなんて誰にもわからないよね? このコースでは最初の2日間、バーディを量産してきたんだ。その流れで最終日もうまくできれば、どうなるか見ものだね」。
ワトソンのプレースタイルを考えると、最終日にケーシーの言うことを否定するには何か特別なものが必要となるだろう。
決勝ラウンドでの悲運を克服しつつあるスピース
ジョーダン・スピースにPGAツアーで優勝争いに加わる才能や傾向があるのは明らかだ。
ツアー2年目のスピースはプロとして臨んだ39試合で15回のトップ10位入り、5度の2位フィニッシュ、そして1勝を経験。今週のフェデックスカップのポイントランキングでは、優勝の恩恵を受けていないものの5位に入っている。
スピースが平均スコアで6位につけていることも不思議ではない。だが驚きなのは、今大会に臨むのに第3ラウンドのスコアが121位なのと、最終日のスコア平均が41位であることだ。
スピースは明らかに記録を取っていなかっただろう。21歳の彼は今大会3日目に5アンダー「67」をマークして優勝争いに加わったが、これは(3日目としては、7試合前の)「バレロテキサスオープン」以来となる70以下のスコアだった。スピースは3日目終了時点で、首位からわずか4打差の5位タイにつけている。首位から6打差で最終日に臨み、ツアー初タイトルを手にした昨年の「ジョンディアクラシック」の時よりも2打差少ない計算だ。
最終日は最終組の3つ前にシュワルツェルと回るスピースに注目だ。彼らは6月1日午後1時25分(現地時間)にティオフする。
マキロイの復活
今大会初日を「63」で回り、一躍首位に立ったロリー・マキロイ。2日目は(連続3ダブルボギーを含む)「78」と崩れたが、3日目に盛り返してきた。
マキロイはこの日「69」をマークし、再び手ごたえを感じている。
「バックナインではいいプレーができた」と振り返るマキロイ。2日目のバックナインの結果とは正反対だ。「11番ではイーグルを奪ったし、満足のいく内容でホールアウトできた。上がり3ホールはどれも“3”でフィニッシュしたけど、今日の午後にそれだけ出せるプレーヤーは多くないだろうね」。
「今日の結果にはとても満足しているよ。上位集団にも、優勝争いにも加わっていないけど、かなり近いところにはいるよね。明日の最終日にいいスコアが出れば、また違うかもしれないけどさ」。
レフティの優勝候補
「ザ・メモリアルトーナメント」での38年間、レフティの優勝者は出ていない。
しかし今大会の最終日では、ホストを務めるジャック・ニクラスを含めた右利きのプレーヤーの独壇場を脅かす存在が2人出てきた。
1人はバッバ・ワトソン。そしてもう1人はあのフィル・ミケルソンではない。
それは、地元イリノイ州では有名人なスコット・ラングレーだ。彼は最終日にワトソンと共に最終組でプレーする予定で、ワトソンはラングレーに1打差をつけて最終ラウンドに臨む。
PGAツアーにはこれまで52試合出場し、優勝は未経験のラングレー。イリノイ大学出身で現在25歳の彼は、大きなスポットライトへ足を踏み入れるのに逸る気持ちを抑えようとしているだろう。
大学での大会と、PGA2年目のプロとして毎週直面する状況とを比べ、「ここでは熾烈さも、期待も(大学より)少し多いかもしれない」と話すラングレー。「だから僕は一歩下がって深呼吸し、その瞬間に集中しているんだ」。
ラングレーはPGAツアーメンバーとして初めて迎えた昨年の「ソニーオープンinハワイ」では最終組でプレーし、3位でフィニッシュ。今年の「バルスパー選手権」で再び3位に入った。
先週の「クラウンプラザインビテーショナル」は68位タイで終えたが、最終日に「69」をマークしてから弾みがついたようだ。
「ツイてる時期が何の前触れもなくやってくることがある」と、ラングレー。「先週のコロニアルではいいプレーができなかったけど、最終ラウンドは上出来だったと思う。だから、その勢いが今週の僕を後押ししているのかもね」。
その他アラカルト
最終日に最終組でプレーする常連となったバッバ・ワトソン。これまで3日目を終えた時点で首位または首位タイに立った時が8試合あったが、うち2試合で勝利をつかんできた(1つは2011年の「チューリッヒクラシック」、もう1つは今年の「マスターズ」)。
今季PGAツアーにおけるストロークプレーの27試合では、3日目終了時点で首位または首位タイだった14名のプレーヤーがそのまま優勝している。最近では「HP バイロン・ネルソン選手権」の覇者ブレンドン・トッドがそうだった。
一方、松山英樹もPGAツアー26試合目での初優勝を狙っている。松山が勝てば、ミュアフィールドでの38年の歴史の中で8人目の海外出身の優勝者となるだろう。
現在世界ゴルフランキング1位のアダム・スコットもまた、2012年のロリー・マキロイ(「ドイツバンク選手権」と「BMW選手権」)以来となる、PGAツアーでの2週連続の優勝者を目指している。
以下は歴代覇者の優勝年と、今大会における現時点での順位
マット・クーチャー(2013年、31位タイ)、スティーブ・ストリッカー(2011年、20位タイ)、ジャスティン・ローズ(2010年、予選落ち)、チェ・キョンジュ(2007年、56位タイ)、カール・ペターソン(2006年、60位タイ)、アーニー・エルス(2004年、20位タイ)、ジム・フューリック(2002年、39位タイ)、ビジェイ・シン(1997年、予選落ち)