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2012年 全米オープン
期間:06/14〜06/17 オリンピッククラブ(カリフォルニア州)

W.シンプソン 静かな勝利の瞬間

第112回全米オープンの事前準備に向かった先は、ノースカロライナ州パインハーストだった。同行したのは家族、コーチ、同僚でもなく、ウェブ・シンプシンは5人の友人とバスに乗り込み、4日間のゴルフ旅行に出たのだった。

キャディのポール・テソーリと数日に渡る猛特訓を行った後、“競技モード”から離れたかった。結果だけで判断するなら、彼は来年以降もこの全米直前の「男だけのゴルフ旅行」を恒例行事にするのが正解なのかもしれない。

サンフランシスコに到着した時、シンプソンは完全にリフレッシュしていた。オリンピッククラブでは日に日にプレッシャーは増したが、彼は耐えきった。重圧の中でも彼は週末の2ラウンドで連続「68」とベストプレーを見せ、折り返し地点(決勝ラウンド進出時点)の29位タイから72ホール終了時にはリーダーボードのトップに立っていた。

気づいたときにはアーノルド・パーマー奨学金でウェイクフォーレスト大に通っていたシンプソンが、今大会で新設されたジャック・ニクラスメダルを首にかけ、その手には(これといった名前はないが誰もが一度は手にしたい)シルバートロフィーを掲げていた。彼はジム・フューリックグレーム・マクドウェルの二人のメジャーチャンピオンに競り勝った。しかも、オリンピッククラブの「伝統」にもなっている逆転優勝(4打差)という形で。

「会場には月曜日に着いて、日を追うごとに調子が上がってきた。昨日はショットが良くて、最初の数日はパットで凌いだ。昨日、ショットの調子が良かったから今日のラウンドが楽しみだった。今日はこれまでで最高のウォームアップができた。僕にとって、今回がまだ2度目の全米だったし、『興奮しすぎるな』、『勝とうとするな』と言い聞かせていた。まずはパーを拾っていくことに専念し、それを忠実に守ろうとしていた」とシンプソン。

最終日の前夜、シンプソンは妻ダウドと映画「スノーホワイト」を見に出掛けた。ホテルに戻ってルームサービスを頼み、16ヶ月の息子ジェームズくんはシャーロットの自宅に残してきたため、この日は朝まで二人でゆっくり過ごした。

ジェームズ君と一緒に優勝を祝えなかったことについては「ちょっとほろ苦い」が、「今週は最高にエンジョイできた。僕はこんなに緊張したことがなかったから、彼女がいてくれて助かったよ」とまもなく二児の父になるシンプソンは妻に感謝した。

おとぎ話にでてきそうな清い一日も、実は、一つだけ「失敗」があった。

「今朝、ウェブにコーヒーを入れたんだけど、彼はカフェイン抜きしか飲まないんだけど、間違えて『レギュラー』を入れちゃったの。そしたら、すごくハイになっちゃって飛び回ってた」と笑いながら朝の出来事を振り返るダウドさん。

しかしコースに出ると、どんなピンチを迎えても、シンプソンは冷静さを失わなかった。序盤5ホールで2ボギーを叩くも、その後、3ホール連続を含む5ホールで4バーディを奪取。これで一気にスコアボードの上位に浮上し、フューリックが13番をボギーとしてついにトップで並んだ。だがそれでも戦いはまだ始まったばかりだった。

敬けんなキリスト教徒でもあるシンプソンは、「今日はずっと『安らぎ』を感じていた。タフなコースだということは分かっていた。最後の3ホールはこれまでで一番祈っていたと思う」と言う。

18番をパーで凌ぎホールアウトした直後、シンプソンは単独首位に立っていた。フューリックは16番ホールのティショットをヒノキの中に打ち込み、終わってみればボギー。ホールアウト後、中継局NBCのインタビューを終えたシンプソンは妻と一緒に残りの選手たちのプレーを見守れる静かな場所を探した。

ロッカールームにテレビがあるのを見つけたが、決して全てのショットに釘付になっていたわけではない。そのかわり、2人は携帯電話でジェームズ君がよちよち歩きする姿や、ウェブが息子を笑わせようとしている動画を見ていた。「あれで落ち着くことができた」とダウドさん。

それでも最終組が72ホール目に到着すると、シンプソンの緊張もピークに達し、これ以上息子の動画でごまかすことはできなかった。マクドウェルは17番(パー5)でバーディを奪い勢いに乗っていて、18番の結果次第ではフューリック、マクドウェルともにマンデープレーオフに持ち込む可能性も残っていた。

この時点でテレビから目を離せなくなっていた。ダウドさんは片手で口を押え、もう片方の手で夫の手をギュッと握っていた。「外のギャラリーの歓声も聞こえてきた。テレビに映る前に結果を知りたくないから耳も塞ごう、と言ってたの。慌ただしかった」と振り返る。

終わってみれば、最後にシンプソンに追い付くチャンスを残したのはマクドウェルだけだった。そしてマクドウェルのバーディパットはカップの手前では既に左に30cmほど外れていた。

「神経がものすごく疲れる思いをした。もちろん彼らの実力は知っているし、彼らはメジャーチャンピオンだ。終盤に良いプレーをして戻ってくるのは分かっていた。最後のグレームのパットは7メートル以上あったけど、カップをかすめるか良いところまで持ってくるのは覚悟していた」

そのパットは外れ、シンプソンは妻と抱擁を交わした。

直近21試合で3勝している26歳のシンプソンは、いつかメジャーを勝てる日が来るとは思っていたが、こんなに早いタイミングで勝てたことには驚いている。

次のメジャー勝利は、クラブハウスの片隅で妻とキスを交わすのではなく、18番グリーンで祝えるかもしれない。最後のパットを決めて大歓声が起こる中、妻、ジェームズ君、そして8月3日に出産予定の第二児がシンプソンに向かって走ってきて、抱擁…どんな神の「計画」でもシンプソン家はきっと満足することだろう。

「スクリプトを書いてくれる人(神)は私たちが想像もできないようなストーリーを用意してくれている。私はそのストーリーに出会えることを期待して生きるだけ」とダウドさん。

シンプソンのストーリーはまだまだ始まったばかりだ。――By Helen Ross, PGATOUR.COM Chief of Correspondents

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