リンクスで桂川有人が頼った人 “聖地”在住のキャディと4年ぶりタッグ
◇米国&欧州男子◇ジェネシス スコットランドオープン 3日目(11日)◇ザ・ルネサンスクラブ(スコットランド)◇7282yd(パー70)
前には誰ひとりいないはずなのに、視界は遮られていた。午前9時過ぎ、全体の第1組でスタートした桂川有人は立ち込める霧の中をプレー。辺りがどんどん白くなっていったにも関わらず、平然とラウンドを続行させられた。
狙うべきエリアは「なんか、かすかに見えた感じ」。競技のストップについて競技委員にそれとなく聞いてみても、「『ターゲットが少し見えればやる』みたいな感じで。OB やブッシュ、バンカーなんかが、うっすら見えていたらやるというので…」と手厳しい。ボールがどこに落ちたかなんて分かるはずがない。
「最初の出球だけ見えて、あとは打感を信じて『あ、なんとなく良いショットかな』なんて。リンクスではどこに転がっちゃうか分からないんで、いい感触でも大丈夫かなと心配でした」。ついに中断が決まった午前10時45分、前半6番までに2ボギー。その後、2時間25分の休憩時間を経て、残り12ホールを午後3時半に終えた。
スイスの山間で行われた大会は濃霧ですぐに中断した記憶があるから、苦笑いするほかなかった。そもそもこの日は、奇数人(71人)が決勝ラウンドに進んだことで、1組2人ずつの組に漏れ、1人でラウンドを強いられた。「初めての経験で、どうやって集中力を保てばいいのかと思っていたけれど、ギャラリーの方が結構ついてくれて、温かい声援に助けられました」とスコットランドのゴルフ熱の高さに感謝する。
一番のサポーターは隣にいた。今週、キャディを任せたベン・キンスリーさんとのタッグは4年ぶり。2022年に初めて出場した、聖地セントアンドリュースでの「全英オープン」以来の再会だった。当時、桂川は出場した日本勢6人のうち最高位の47位でフィニッシュ。ナショナルチーム時代の伝手で紹介された、当地在住で、R&Aの本部で働いていた経験もあるキンスリーさんに力を借りた。
普段とは異なる戦い方を求められるリンクスで今回、スポットで再タッグを依頼した。「この試合は自分も3回目なのでコースは分かっているんですけど、ちょっと助けてもらいたい時にリンクスで育った人がいてくれると、イメージもわく」。カットライン上とはいえ、DPワールドツアー(欧州ツアー)で3試合ぶりに予選を通ったのは事実でもある。
2021年にプロの世界に飛び込んでから、すでに海外でプレーした時間の方が長くなった。米下部コーンフェリーツアー時代には、大会による選手とキャディのマッチングで、60代の銀行員と名乗る男性にバッグを預けたこともあった。「10代の子どもだったり、学生だったり。ただ付いてきてもらうだけのキャディさんもいたんです(笑)」。頼りになった人には、インスタグラムやWhatsAppなどのメッセージアプリで連絡して協力を願い出る日々。世界中での数々の出会いも転戦の力になっている。(スコットランド・ノースバーウィック/桂川洋一)