2026年 マスターズ

早起き<先週の一枚>フォトグラファー今井暖

2026年 マスターズ  最終日 オーガスタナショナルGC 18番ホール
マスターズ最終日。オーガスタナショナルGCの18番ホール

◇メジャー第1戦◇マスターズ 最終日(12日)◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7565yd(パー72)

眠れない日が続いていた。「マスターズ」の緊張感のせいなのか、それとも時差ボケに対する回復力の弱さのせいなのか。溜まりに溜まった疲労と睡眠不足が日曜日の朝、僕に襲いかかった。

ゴルフの祭典「マスターズ」の最終日、最終組が18番ホールに上がってくる頃、この広大な緑の丘をたくさんの人が埋め尽くす。僕にはフォトグラファー専用エリアに入るパスがまだ与えられないので、日の出前の真っ暗な18番グリーンの周りに自分の場所を確保するため、緑色のイスを置くことから始まる。早い者勝ちとなるこの恒例行事に遅れないよう早起きするのだが、その日の朝、既に集合時間を過ぎた目覚まし時計を見て、久しく感じたことのない衝撃が身体中を駆け巡った。

世界最高峰のメジャートーナメントであれ、ジュニアゴルファーの小さな競技会であれ、ゴルフの試合はどういう展開になるのか全く読めない。歓喜の瞬間をどの位置から撮るのがベストなのか、頭を悩ませられる。過去にイスを置いた場所とは違う場所を今回は選んだのだが、最後の瞬間はどうなるのか。あとはもう空に手を合わせるしかなかった。

2026年のマスターズは終わってみると最終組から優勝者が出るという順当な展開となった。ただ、試合中はトーナメントリーダーが目まぐるしく変わる白熱の展開となり、コース内にあるスコアボードでしか状況を確認することしかできない僕たちは、何度も立ち止まり、写真を撮りに向かう先に頭を悩ませた。選手の調子やグループごとの雰囲気、それを取り囲む観客の熱、数値では表せない試合の「流れ」なるものを察知することが重要になってくる。もはや考えるな、感じろ、である。

残り3組となった夕方、丘を埋め尽くす群衆をかき分けてようやく18番グリーンに辿り着いた。なんとか間に合った朝の場所取り合戦で置いたイスに腰を下ろし、やがて最終組がテーマソングを纏(まと)いながら丘を登ってくる。肩にぶら下げた4台のカメラから1台を選びファインダーを覗く。少しだけ遅れた早起きでも十分に徳を与えてくれそうだ。

これからいよいよ最後の瞬間を迎えるのだが、既にこの光景に巡り会えたことで空に合わせた手は祈りから感謝に代わっていた。ようやく今夜は眠れそうだ。(フォトグラファー・今井暖)

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