今週のポーラは心の中で見えない会話をしているようだ。

「ウェグマンズLPGA選手権」で2日目を終えて2位タイにつけるポーラ・クリーマーだが、今大会はある種の寂しさと共にある。

今年2月にシンガポールで行われた米国女子ツアー第3戦の「HSBC女子チャンピオンズ」。2日目を終えたクリーマーは、大会を途中棄権する。彼女が「Pops」と呼んで敬愛する祖父トム・クリーマー氏が、胸の痛みを訴えて病院へ搬送されたという一報を受け、急きょ帰国の途に就いたのだ。家族に見守られたトム氏は、3月19日に94歳で生涯を終える。

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今大会が開催されているロチェスターから車で約2時間の距離にあるイサカという町に住むトム氏は、毎年必ず会場に駆けつけ、18番グリーンにあるスタンドでポーラに声援を送っていた。

「祖父がいないこの場所に来るのはとても辛いこと。彼が亡くなってから、今週が来るのが怖かったとも言えます。彼は一度も欠かさず毎年この大会に来てくれていた。18番グリーンに歩いていくと、私の目には涙があふれてくるの。だって、グリーン奥のスタンドに、彼の姿が見えるから」。

大会2日目を首位と1打差の2アンダー、2位タイで終えたポーラ。「でも、これも人生の一部。彼の助けを借りて今年が私の年となることを祈っているわ」と気丈に話した。（ニューヨーク州ロチェスター／今岡涼太）