174個のバンカーとは「友達になれない」 渋野日向子に響いた“10年ぶりV”
◇女子メジャー最終戦◇AIG女子オープン(全英女子) 事前(28日)◇ロイヤルリザム&セントアンズGC (イングランド)◇6601yd(パー71)
毎年この大会に戻ってくるたび、専用パーキング、専用ロッカー、専用選手バッジと歴代優勝者ならではの環境にテンションも上がる。キャリアを大きく変えた全英女子は、ことしも渋野日向子を温かく迎えてくれた。前日27日(月)の練習ラウンドは、メジャー昇格後に唯一大会を連覇した経験のある元世界ランキング1位のツェン・ヤニ(台湾)と回った。「お会いするだけでインスピレーションをもらうというか、幸せな気持ちになれる選手」。ことしも早速いいことがあったようだ。
2024年からは米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の日本におけるブランドアンバサダーにも就任し、大会との縁がさらに深くなった。「全米もすごく大事ではありますけど、米ツアーメンバーになる前ですけど、ここでしか勝っていないので。やっぱり、ほかの試合と違う感覚になるのはしょうがない。気合は入ります」。だからこそ、直近の3年連続予選落ちは歯がゆくて仕方ない。
一方で「毎年楽しみな気持ちですけど、よりいい気持ちで臨めているような感覚はありますかね、過去3年に比べたら」とも言った。今季は6月「全米女子オープン」で17位に入って上向く気配を感じさせると、3週前の「アムンディ エビアン選手権」で16位。これまで苦手としていたコースで上位争いに加わる場面もあった。
174個ものポットバンカーがコースに点在するロイヤルリザム&セントアンズGC。セントアンドリュース オールドコースの112個と比べても際立つ数字に「そんなにあるんですか?埋めてもろて…」と目を丸くしつつ、戦い方を思い描く。
硬い地面のフェアウェイにはマウンドが多数。ナイスショットが結果としてバンカーに吸い込まれることもある。アンラッキーはどうにもできなくても、納得のいくスイングを続けることは自分がコントロールできる部分。昨年までより身体の動きに手応えがある現状なら、低い球で攻める強風対策の引き出しも使えそうだ。「毎回のように言ってますけど、風と友達になること。バンカーとは…友達になれないですね」と笑った。
前週「スコットランド女子オープン」で10年2カ月25日ぶりの優勝を飾ったジェニー・シン(韓国)の言葉に感じるものがあったという。とんとん拍子で実感の薄い初優勝から、紆余曲折を経て自分の力でつかみ取ったと胸を張れる2勝目への旅路に思いをはせる。「やっぱり7年前は何も知らない、勢いのまま勝ったような感じ。たぶん自分も(次に)勝った時はそういう感覚になるような気がする。早く優勝したい!」。その瞬間を味わうために米ツアーで戦っている。(イングランド・リザムセントアンズ/亀山泰宏)