最終局面で“イップス”と対峙 ルーキーV倉林紅はプレーオフ前に泣いていた
◇国内女子◇資生堂・JALレディスオープン 最終日(5日)◇戸塚CC東C(神奈川)◇6487yd(パー72)
最終18番でバーディを奪い、通算12アンダー首位タイでホールアウトした倉林紅はクラブハウスに戻り、泣いた。3組うしろの最終組は13アンダーまで伸ばすに違いない。あと1つ伸ばせなかったことに悔しさがあふれた。しかし、上位勢が予想したほどは伸びず、勝負は倉林を含む史上最多7人のプレーオフへ。「悔しさが吹っ飛んだ。『自分のためのチャンスなんだ』と思えた」と強い気持ちで再びコースに出た。
3打差を追ったこの日は出だし1、2番の連続ボギーで始まった。14mを決めた3番(パー3)で1つ目のバーディを奪取。今季から取り入れたエイムポイントが奏功し、長短さまざまのパットを沈めた。前半を3アンダーで折り返し、15番(パー3)で3カップ分切れるラインを読み切って6つ目のバーディ。最終ラウンド「67」で首位に追いついた。
しかし、プレーオフ1ホール目で最大のピンチが訪れる。8Iで放った2打目が木に当たり、グリーン手前のバンカーに入った。「まさか…」。トーナメントでの失敗体験が増えて以降、バンカーを最も苦手としてきた。練習で“ホームラン”するミスが増え、試合ではギャラリーに当てるのを恐れて振り切ることができない。「半イップスみたいな感じだった」。そんな“宿敵”が、正念場で立ちはだかった。
バンカーに足を踏み入れながら、失敗の記憶が頭をよぎる。それでも「ここに立ったら、打つしかない。緩むことだけはやめよう」と残り30ydを振り抜いた。ボールはピン手前80cmまで寄り、パーセーブ。6人が残った2ホール目に唯一のバーディを奪い、スタートから6時間にわたった一日に引導を渡した。「(優勝パットは)アドレナリンが出すぎて、あんまり覚えていない。良い意味であまり感情がなくて、目の前の一打に集中できました」
昨年のプロテストを3度目の挑戦で合格し、22人のルーキーで一番乗りの優勝を決めた。「ルーキーイヤーで1勝をするのが目標だった。達成できて、これから2、3勝とできるように」と視線は次のステージを向いている。「たくさんの方に倉林紅を知ってもらえるように頑張りたいです」。21歳の夢が、一つ膨らんだ。(横浜市旭区/合田拓斗)