桑木志帆を変えたメジャー経験 初めての「狙って獲れた優勝」に手ごたえ
国内女子◇宮里藍サントリーレディスオープンゴルフトーナメント 最終日(14日)◇六甲国際ゴルフ倶楽部(兵庫)◇6619yd(パー72)◇曇り(観衆5428人)
桑木志帆は50cmのウィニングパットを“お先”しそうになった。理由はマークが「邪魔になるかな」と思ったから。そんな平常心が生んだ5月「SkyRKBレディス」に続く今季2勝目だった。「感情の上下がなく、今までの優勝で一番落ち着いてプレーできたかな」。優勝会見もやはり、落ち着いた口調で喜びをかみしめた。
転機となったのは、前週のメジャー「全米女子オープン」だった。畑岡奈紗に次ぐ、日本勢2番手の14位に入った。想定以上の成績に「もっと自信をもっていいんだと思った」。だから帰国直後の本大会は、優勝を狙うと心に決めていた。
もっともコンディションは万全ではなかった。米カリフォルニア州から帰国直後で疲労はピーク。3日目は氷嚢を当てながらのラウンドだった。前夜には定食チェーンの「炭火焼干物定食 しんぱち食堂」で豚の生姜焼き定食にサーモンハラスを追加して栄養補給。さらに、足を氷で冷やした後に湯船に張ったお湯につける“交代浴”を4セット行うなど、徹底したケアで最終日に備えた。すべては勝つためだった。
3打差首位で迎えた最終日は、苦しい展開になった。2位の永井花奈の追い上げを受けて前半5番で並ばれ、6番(パー3)でボギーをたたいて首位陥落。それでも、表情に動揺の様子はなかった。勝負どころは12番(パー5)。ピンチを迎えた永井を横目に「ここで取らなきゃ」。30ydを58度のウェッジで50cmに寄せ、この日初バーディ。首位に並ぶと、左に池が広がる16番(パー3)ではグリーン左に切られたピンに対して右2m強につけ、シビアなバーディパットを沈めて抜け出した。
同じく1打差の接戦を制した前回優勝とは意味合いが異なるという。「自分に自信をもってプレーできた。追いつかれて追い越された時もあったけれど、動じなかったので自分でもびっくりしている。怒ったり、悲しんだりはなかったです。狙って獲れた優勝は初めて。すごく手ごたえがある」。世界最高峰の舞台で戦った経験が、23歳を精神面で一回り成長させた。
次週の国内ツアーは欠場し、6月25日開幕のメジャー「KPMG全米女子プロゴルフ選手権」(ミネソタ州ヘーゼルティン・ナショナルGC)に備える。「アメリカでも爪痕を残してきたい」とメジャーでのベストフィニッシュを狙う。そしてその先には、「年間女王になってアメリカにいく」と目標を掲げる。表彰式で大会アンバサダーを務める宮里藍さんから、チャンピオンブレザーを着せてもらうときに声をかけられた。「全然、アメリカで戦えるよ」。世界に目を向ける桑木にとって、憧れの元世界ランキング1位の言葉が何よりうれしかった。 (神戸市北区/中村文香)